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最愛 【黒子のバスケ】

第13章 未来を掴む


奥の部屋に閉じこもってずっと泣き続けた。

自分が悪いって分かってるのに涙が止まらなかった



部屋から出れないまま時間だけが過ぎて、もう完全に部屋から出ることを諦めた時部屋のチャイムが鳴った。


玲子先生たちがこっちに戻ってきたのかと思ったけど大我の声が聞こえて、多分あたしに何か用があるのかと思ったらあまりのタイミングの悪さにもう神も仏もないと思った。


「ねぇっ!今はやめてあげて‼」

「火神さん!」


「悪りぃけどそれはできねぇわ」


美緒とさつきが大我を止めてるにも関わらず、大きな足音がこっちに近づいてくるのを感じて思わず体を丸めた

大我の足音だって分かってたから怖かったんじゃないけど、自分が悪い癖にめそめそと泣いてるところは見られたくなかったし、理由を聞かれても話したくない。



でも、来ないでほしいっていうあたしの願いは呆気なく無視されて、部屋の扉が一気に開かれるのと同時に明かりが差し込んだのが分かった



大我が部屋の扉を閉める音が聞こえて、また暗がりが戻ってきたけど、あたしが点けてあったサイドスタンドが大我の顔をぼんやりと浮かび上がらせた





「お前は、青峰が好きなんじゃねぇの?」


「…」

声はいつもと同じだったけど、あたしに言い聞かせるときの優しい話し方だった

なんで告白されたことを知ってるのか分からなかったけど肯定できなかった
あたしは自分で遠ざけたんだからそれをここで肯定するのはズルい


「前も言ったけど、好きならそれでいいんだよ」

「…それだけじゃダメなこともあるの」

やっぱりあたしは誰かに恋なんてするべきじゃなかった
青峰君があたしを好きになってくれるなんて思ってなかったから片思いなら勝手だって思ったことが間違いだった


「泣く程好きで、青峰だってお前が好きだっつってんのに何がダメなんだよ?」

「……あたし。あたしって存在そのものがダメなの」


「…そんなこと言うなよ」

「だってそうでしょ」

あたしに誰かを好きになって幸せになる資格はない


「お前、マイアミで俺が言ったこと覚えてるか?」

「なんとなく」

「本人に非がねぇのにそれを理由に嫌いになったりしねぇ」

だからそれは非がなかった場合でしょ?
あたしは非がある。


マイアミでは言わなかったことを今日は口に出さずにはいられなかった。
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