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最愛 【黒子のバスケ】

第13章 未来を掴む


side火神

「青峰ならばと思ったが…やはりうまくはいかないものだな…」

みさきと屋上行くって部屋を出た青峰がみさきに自分の気持ちを伝えるつもりだってことはあいつの顔で分かった。

手術が決まってて下手すりゃこれがみさきと青峰が会える最後になるかもしれねぇんだから、青峰の性格からして言わねぇって選択肢はなかった。


俺ももしかしたら青峰ならと思ってた。

でもダメだった。


「けど、みさきは本心じゃねぇな」

「恐らく、自分は幸せになるべきじゃないという考えを捨てきれていない」

「あぁ。それに、あの事を知られたら嫌われちまうって思い込んで逃げてる」

幸せになっちゃいけねぇ人間なんていねぇって何度言っても、分かった振りをして誤魔化してるみさきの考えを変えさせるのは容易じゃなかった。


けど、俺はみさきに、一瞬でも数日でもいいから、好きな男といて幸せだって、自分は幸せになっていいって思って欲しかった。


手術で万が一のことがある前に心の底から惚れた男といい時間を過ごしてほしかった。


「逃げたくなるのも分からなくはないが…」

「もう11年だ。いい加減あの事から解放されてほしい。みさきからすりゃ昨日のことのように思い出しちまうかもしれねぇけど、苦しみ続けてるのは見てられねぇ」

「そうだな。荒療治だが、一番みさきを見てきたお前の言うことなら聞くかもしれないのだよ」


「俺ちょっと行ってくるわ」


「火神…」

「分かってる。本心を引き出すだけだ。最後は自分で言わせる」



人生何が起きるか分かんねぇんだから、正直に欲しいっつったもんが得するに決まってる。

損ばっかしてきたみさきが、もう損せずに生きていけるように、ちょっと強引かもしんねぇけど俺のできる恩返しをする。

ずっと俺を支えてくれた特別な存在だから、幸せであって欲しい。
幸せに笑うところを俺に見せてほしい


俺とみさきはずっと変わんねぇ。
けど青峰とみさきは今が変わる時だ

最後は欲しいものを欲しいって言って自分で掴み取らせることができればそれでいい。










部屋のチャイムを鳴らすと桃井がぎこちなく笑って扉を開けた。


「みさきは?」


「うーん…今はちょっと。後でいいかな?」

みさきを大事に思ってくれるこいつらの優しさはよく分かってる。

でも今回は俺も引けねぇ
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