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最愛 【黒子のバスケ】

第13章 未来を掴む


初めは何を言われてるのか分からなかった。

まさか青峰君があたしなんかを好きになってくれるなんて思ってもいなかったから、せっかく伝えてくれた気持ちに対してすごく失礼な反応をしてしまった。


それでもはっきりと、あたしの目を見て伝えてくれた青峰君の真っ直ぐな目が、彼の誠実さを表してるみたいで、あたしみたいな嘘つきと付き合わせるわけにいかないって気持ちが噴火した火山から流れ出るマグマのように一気に広がった。


青峰君には誰よりも幸せでいてほしい


その気持ちだけが青峰君に飛び込みたくなる自分を押さえ込んだ。

青峰君は幸せになる資格があるんだから、わざわざ不幸な道を選んで欲しくない。
青峰君と付き合えても幸せなのはあたしだけで、あたしは青峰君に幸せって思わせることなんてできない。


「あの…あたし戻るね」

気まずいまま屋上を出ようと背中を向けると青峰君の声が聞こえた。





「みさき、お前は誰よりも強くて綺麗だ。自分を卑下するのはやめろ」



もう何も言えなかった。
涙が溢れてどうしようもなかった。

弱くて全て汚れ切ったあたしをどうしてそんな風に思ってくれるのか分からなかったけど、青峰君がそう思ってくれたって事だけでこれから先自分は頑張れそうな気がした。


泣いてることを悟られたくなくて何も言葉を返せないまま屋上を出てエレベーターに乗り込んだ。


登ってくる時は楽しかった



ロビーまで降りて、少し夜風にあたって気分と顔を落ち着かせて部屋に戻ったけど親友たちにはすぐにバレてしまった。


「おかえ…って、みさき!?どうしたの?!」

「ごめっ…」


心配されたら我慢してても涙は勝手に溢れてしまう


「ひとっ…1人に…してもらって…」

「奥の部屋使って。誰も入らないから」

あたしが泣いてるところを見られるのが嫌いって知ってるから、背中を撫でて奥の部屋に入らせてくれた。




辛くなるなんて分かってた。
でも止められなかった。


好きで好きでどうしょうもなくて、でもそれと同時に怖かった。

忘れられなくなるのも…あの事を知られてしまうのも。

あの事さえなければあたしは青峰君に飛び込めたかもしれない。
でももう過去はどう足掻いても変わらない
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