第13章 未来を掴む
星を見たかったのは本当で、でも青峰君に連絡するならもう少し早い時間にしておくべきだった。
寝てるとこを起こしちゃうのは嫌だったけど、ちゃんと連絡しろって言ってくれたから一応メッセージを入れた。
(今から屋上行くね。眠かったら大丈夫だよ)
メッセージが送れたことを確認して屋上行きのエレベーターを待っていると、後ろから足音が近づいてきて、振り向いたら青峰君だった。
「俺も行く」
「眠くないの?」
「眠くねぇよ」
青峰君が答えた直後にポンと音が鳴って、エレベーターの扉が開くと背中に手を添えてエレベーターに乗せてくれた。
屋上の入り口前に置かれたカシミアの大きめのブランケットを持って扉を開けると、ひんやりした空気が頬を撫でて、足元を照らすためだけのキャンドルがぼんやりと光る心が落ち着く空間だった。
「寒くねぇ?」
「うん。全然平気」
扉を閉めて完全に屋上に出て空を見上げると、空気がきれいで周りに街灯も建物もないせいか、星が帯状に広がっていて七夕でもないのに天の川が見えた。
「すっごいきれい‼」
「すげ。こんなん普通に見えんだな」
「初めて見たー!!」
「俺も初めて見た」
立ったまま上を見てるせいで首が疲れてきて、人がいないのをいいことに一番大きなカバナに寝転がると、青峰君も横にごろんって寝っ転がった。
「真夏ならこのまま寝たい」
「だな。でかいテラスとか屋上ってすげぇいいな」
LAも東京も人工的で表情のない綺麗な景色はいつでも見れるけど、自然の綺麗さっていうのはなかなか見れない
あたしの来たかった場所で見たかった景色を世界で一番好きな人と見てる。
あたしは幸せになっちゃいけないって思いながら幸せを求めてる
青峰君と軽井沢に来たいって望んで、それが叶ったら一緒に星を見たいって望む。
どんどん贅沢になって次から次へと幸せを求める
もう本当に……ここでやめなきゃ
これ以上求めるのはルール違反
だから、このつぎを求める前に……
二人で会うのやめたいって言おうとカバナから勢いよく立ち上がって大きく伸びをした
「あのねっ…」
________ぎゅっ…
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「好きだ...」