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最愛 【黒子のバスケ】

第13章 未来を掴む


飛行機から降りて荷物を受け取って入国の手続きを済ませて入国ゲートをくぐる。

成田はいつ来てもものすごい人で、紫原さんがいればすぐに見つけられると思ってたけどそうもいかなかった。


人の波をよけて分かりやすいところに出ようとしたところで男性に声をかけられた。

『すみません。ちょっと教えてほしいんですが』

明らかになれない英語で話しかけてきてあたしを外国人だと思い込んでるみたい。

確かにサングラスをしているとこの高すぎる鼻のせいで外国人に間違われることはよくあった。


「なんでしょうか?」

日本語で返すとちょっとホッとしたように彼も日本語で話し始めた


「ちょっとバス乗り場が分からなくて…時間があれば教えてもらいたいんですが」

「それならここを左に行けば出口なので行かれますよ。分からなければそこのカウンターで聞くと教えてもらえます」


「そうなんで…」














_____ぎゅっ


えっ…

「お帰り」






後から突然抱きしめられてすごくびっくりしたけど、それはほんの一瞬で、それが誰かなんて振り向かなくてもすぐに分かる。
低くて甘い優しい声が頭の上から響いて、薄着の服越しに体温が伝わってきて、会いたくてたまらなかった人がここにいることをあたしに教えてくれる。


道を聞いてきた男性の言葉は途中で途切れて、そのあとは青峰君の声以外何も聞こえなかった。





「ただいま。青峰君もお帰りなさい」

サングラスをしたまま少し振り返ると温かい大きな手があたしの頬に優しく触れた。


「ただいま」


あたしのおでこに青峰君がおでこをくっつけて鼻が少し触れるのがすごく恥ずかしいのに離れたくない。
顔が真っ赤な自覚はあるけとサングラスがある分いつもよりはマシな気がした。

だけどずっとこのまま何も言わないのは流石に恥ずかしすぎて兎に角何か聞かなきゃって思って一番心配だったことを聞いてみた

「肘大丈夫?」

「大丈夫だ。つーか帰国していきなりナンパされてんじゃねぇよ」

「ナンパじゃないの。道聞かれただけ」

「ったく。お前は。だから鈍感だっつーんだよ」

だってナンパならもっと違う言い方あるでしょ?
ナンパでバス乗り場聞いてくるなんて変すぎる。バス乗り場分かったらそこでお話し終了だもん

「鈍感じゃない。あたしの言う方が事実なの」
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