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最愛 【黒子のバスケ】

第13章 未来を掴む


若干のトラブルはあったものの初日は大いに盛り上がって無事に夏のコレクションのお披露目をすることができた。

ホテルに戻ると張りつめた神経が一気に緩んだ。


”時間あったらいつでも連絡して来いよ“

そう言ってくれたからちょっと連絡を入れることにした。

(初日は成功でした)

あたしはメイクのことになると本当におしゃべりが過ぎてしまう。
だから本当に伝えたいことだけをシンプルに打って送信した。


日本とミラノの時差は8時間。

こっちが夕方だから向こうは深夜できっと寝ているはず。


青峰君が日本に帰国してからは時差がなかったから電話がしやすかったけどあたしがミラノの今はまた時差があるから電話は簡単じゃなかった。

それに声を聞いたらきっと会いたくなっちゃうから電話ができないことは好都合なのかもしれない。


少し休憩をしてBOSSがまた今日も食事に誘ってくれたから一緒に夕食を取るためにホテルを出た。



『お疲れ』

『お疲れさまです』

仕事中は本当に厳しいけど仕事から一歩出てしまえばすっごく優しくてお茶目なBOSS


レストランで頼んだお水のグラスに手を伸ばすために少し袖を上げたらBOSSがニヤッとちょっと悪い顔で笑った。


『それ、ダイキでしょ』


あたしの報酬ではとてもじゃないけど買えないと思われる青峰君にクリスマスにもらったあの時計。
ミラノはずっと目標だった特別な場所だから、仕事以外の時はこの時計をするって決めてた。

何で青峰君だって分かっちゃうんだろ…

『クリスマスに贈ってもらいました』

『仲良くやってるのね』

『悪くはないと思います。でも女の人としては見られてなくて…あたしの事を多分犬とか猫みたいな感じで可愛がってくれてます…(笑)』

あたしは抱きしめられたり頬を触られればすっごくドキドキしてるけど青峰君は全然普通の顔で、照れてるとかそういうことって一切ない。

だからあたしは恋愛対象じゃないって分かるのに、自分が青峰君を好きすぎてそれでもいいって思っちゃってる。


あたしは青峰君に彼女ができるまできっとずっとあの心地のいい腕の中とぴったりと嵌るハグを手放すことはできない。
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