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最愛 【黒子のバスケ】

第13章 未来を掴む


2日間のプレメイクを無事に終えてあたしのブランドに入るフリーのメイクさんも決まって今日からファッションウィーク本番。


『初日の出来で1週間の出来が決まるといっても過言じゃないわ。全員よろしく頼むわよ。さぁ行って‼』



BOSSの言葉に全員が各ブランドに向かって散って、色んな人がせわしなく動き回るバックヤードでドライヤーの音やメイクのパレットがカチャカチャとなる音が聞こえて集中力が一気に高まる。


間違っても静かな空間とは言えないのにほとんどの音がぼんやりとしか聞こえなくて視覚から入ってくるメイクの情報だけが頭の中を支配していく。


他のことは何も考えられなくなる。


自分の担当するブランドのメイクチーム全員のやるべきメイクは頭に入っている。
自分の担当をやりながら視線を滑らせて全員がきちんと打合せ通りにメイクをしているか確認していく。


濃い水色やピンク、オレンジ、青など夏にぴったりのカラーでグリッターも多く使う。

羽をあしらったつけまつげを装着して派手なメイクで夏を歓迎する。


全員が完成させたモデルのメイクの最終チェックをしてランウェイの裾に送り出すまでがあたしの仕事。


打合せ通りのメイクとヘアができていることを確認して一人づつ送り出していく。


最後の一人のチェックになった時、メイクに何か違和感を感じた。


チークの色が違う


『これ打合せと違ってるじゃない』

『そんなはずないです!』


でも違っているものは見れば分かる。

モデルを座らせてチークを変更するために一度頬のメイクを全て落としてやり直す。

出演時間は刻一刻と迫ってもう間に合わないかもと思ったけどステージの裾にいく最中に最後のチークを仕上げて本当にぎりっぎりでステージに送り出すことができた。



『使うものに印をしなかったの?』

『しましたけど…間違えてました』

『本来間違えましたじゃ済まないわよ。どうして間違えたの?』

『打合せの後すぐに印をせずに今朝慌ててやったので、メモの品番を見間違えてしまいました』


なぜ彼女がすぐにやらなかったのかは分からない。けど自分自身で朝慌ててやったことがミスの原因だって分かってるならそれ以上言うことはなかった

『二度と同じミスをしないように対策を考えて』


『はい。すみません』

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