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最愛 【黒子のバスケ】

第13章 未来を掴む


みさきが出張前に緑間のところで検査を受けるため、一緒に病院に行って、緑間の診察を終えたみさきが部屋を出るのと入れ替えに俺が緑間に呼ばれた。


「今から話すことは医者として、事実だけを話すからしっかり聞いておいてもらいたい。みさきからも俺から火神に話すということで許可をもらっている」

「あぁ」


「みさきが今回の件で初めて検査に来た日、連絡不行き届きで技師が傷に触れ、みさきはパニックを起こした。脚を開かなくてはいけない体勢もおそらくみさきの恐怖を煽ったが、レントゲンを撮るためにその態勢は致し方のない体勢ではあった」

傷に触れたって…
ふざけんなよ…

「おい…医療ミスに重ねて連絡不行き届きってお前んとこは何やってんだよ」

怒りが込み上げた。
緑間が悪いんじゃねぇって分かってても怒りのやり場がなかった。

「本当に申し訳ない。玲子がすぐに来て何とかみさきを落ち着かせたが…パニックを起こした時、みさきはお前を呼んでひどく取り乱した。今回の手術に同行してもらえることになって正直俺としても非常にありがたいと思っている。手術直前はかなりナーバスな状態になると思ってまず間違いない。玲子も同行するが、やはりお前に頼らざるを得ない部分が非常に大きい。特に採血の後や術前のレントゲン後などみさきのストレスはピークになるはずだ」


「分かってる。5.6月はその為のオフだ」


「すまない。俺も信頼はされてはいると感じるが…お前ほどみさきを分かってやれるわけじゃない。それは玲子も同じだ。やはりみさきにとって一番安心できるのは現時点ではお前なのだよ」


「あぁ…手術は頼んだからな。絶対ぇ危険なことはしないでくれ。……みさきに死なれんのは無理だ」

これは俺だけじゃねぇ。
両親は当然、青峰も桃井も進藤もそして手術に立ち会う緑間だって同じことを思ってるはずだ。


「危険は回避する。そのために俺がオペに立ち会う。だが、絶対はない。最悪の状況を想定してすべての準備は整えておく。これは医者として今言えることだ。だが、みさきの友人として言わせてもらえば、俺だってみさきに死なれる事など承服できない。それは玲子も父も同じだ」


医者として無責任に「絶対大丈夫だ」といえないことは分かっていた。
だから、最後に聞けた緑間の本音が少しだけ俺の張りつめた気持ちをほぐしてくれた。
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