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最愛 【黒子のバスケ】

第13章 未来を掴む


寝過ごすわけにはいかなくて大音量でかけておいたアラームと部屋のスピーカーから流れるやかましい音楽で二人で目を開けた。


「うるせー(笑)」


「OKグルグル。アラームストップ」

文明の利器を存分に使って温かさを手放すことなくスピーカーの音楽を止めてスマホのアラームも黙らせる。


「んー…すっかり寝ちゃった」

「俺もすげぇすっきりした」


ソファで二人でもぞもぞ動いて青峰君の大きな手があたしの背中をゆっくりと撫でてくれる。

あたしはなぜか寝起きに背中をさすられるのが子供の頃から大好きだった。

大人になってからはずっとしてもらうことはなかったけど、NYで青峰君が寝起きに軽く撫でてくれたことがあったからその時にそれを言ったら寝起きはいつもしてくれてた。


「腕痛くない?」

「あぁ。大丈夫だ。脚は?」

「平気だよ」



ソファからゆっくり起き上がってこの夜中に二人でストレッチをして目を覚ます。



「あっ‼もうダメ‼」

「痛てぇ?」

お前は目覚まさなくていいだろって言われたけど、最近ストレッチもできてなかったから、体の柔らかい青峰君がどんな風にやってるのかちょっと教えてほしかった。

「これで限界…」

「やっぱ股関節はちょっと硬てぇな。他は結構柔らけぇけど。でも一般人ならそれで充分だ」


二人で立ち上がって大きく伸びをすると、ふわりと優しくあたしを包んでくれた。


「遅くまで悪かった」

「ううん。すごく楽しかった」

「また戻ってくるけど、脚痛てぇときは無理すんなよ」

「うん。青峰君は手術頑張ってね」


そっと腕を回してゆっくり抱きしめ返したら、ギュっとしてから頭を撫でてくれた。



エントランスまで行くって言うあたしに「絶対ダメだ」って言って、玄関までしか送らせてくれなかったけど、部屋を出るときにもう一度ギュっとしてくれた。


「二人じゃねぇけど軽井沢行けそうだな」

「うん。星見えるかな?」

「見えるといいな」

「うん。明日お見送り行かれないんだけど…手術成功するように祈ってるからね」


「ありがとな」


そう言って笑って玄関を出た青峰君を見送って、一人になった部屋は、ひどく寂しく感じた




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