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最愛 【黒子のバスケ】

第13章 未来を掴む


「余計な事じゃねぇ。すげぇ大事なことだ」

「でも今一番大事なのは腕を治すことだよ。そうじゃなきゃあたしだって青峰君が心配で自分の手術頑張れないかも」


送り迎えしてもらうって決めるときに青峰君に言われたセリフをそのまま返した。


「お前…それはズリィだろ」

青峰君が先にそう言ったんじゃん

「ズルくないよ。あたしは青峰君が腕治って来季にレイカーズでやってるとこが見たいんだもん」


「分かった。お前がそう言うなら自分の事もちゃんと考える。けど心配ぐらいはさせろ」


腕の力を緩めてあたしの目を見て優しい声でそう言ってくれた。

「うん。でも自分のこと最優先だよ」

「分かった」


そのあと「お前もな」って付けくわえられてすっかり冷めてしまった紅茶を二人で飲んでから、あったかいのを飲みたいねって言って2杯目を入れてまたソファに二人で座る。


「そーいや火神いつ来んの?」

「4日後に帰国するよ」

スポンサー関係の仕事を調整してくれたらしく、6月いっぱいは完全にオフにしてもらって日本に早々に帰国できるようにしてくれたらしい。

「それまで仕事どうやって行くんだよ」

「タクシーだよ」

「タクシーはダメだ。これ使って青峰で呼べ」

そう言って財布から何かを出して渡してくれたけど、よく見るとハイヤーのカードで、とてもじゃないけどそんなことまでお世話になれない

「ダメだよ‼」

「ダメじゃねぇ。タクシーは危ねぇって火神に言われてんだろ。深夜に女一人でタクシーなんて絶対ダメだ」

「日本ならいつも乗ってるもん」

「でもこの4日間は絶対ダメだ‼毎日同じ奴が来てお前の顔と家覚えられてもいいのか?」


この無数にタクシーのある東京でそんなこと絶対ありえないんですけど。
それに部屋まで送ってもらう訳じゃあるまいし…

「ねぇ青峰君、最近大我に毒されてるんじゃない?」

「俺は火神程お前の事甘やかしてぇねぞ」

いいえ。充分に甘やかしてもらってます。

さっきだって紅茶入れなおしてる間にクッキー食べたくなってきちゃったって言ったら自分は食べないのにコンビニに買いに行ってくれたし
どっちかと言えば青峰君の方があたしに甘い

大我はただただ過保護
パパみたいなこと言ってくるけど、すっごく甘やかしてくる訳じゃない

「とにかくこれ使え。それ以外の選択肢はねぇ」
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