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最愛 【黒子のバスケ】

第12章 何度でも


機内でネロをゲージから出すと、最初は慣れない機内に落ち着かねぇ様子だったけど、2時間もすると大分落ち着いて乗っててくれた。
俺のわがままに付き合わせるネロに快適に過ごしてほしくて、犬を機内に放せることを条件にしたら信じられねぇぼったくりだったけど別に構わねぇ。

みさきに会うまではネロだけが唯一俺の癒しだった。
試合で留守が多くても、試合に負けても、思い通りにプレーできなくても、ネロが俺を待っててくれると思えば頑張れた。

付き合い始めはそれなりにいいと感じる部分があっても、好き勝手なことを言って泣いて怒る女はめんどくせぇ以外の何物でもなくて、心底好きだと思えることはなかった。
別れようと言われれば引き留めなかったし、別れたいと思えば相手が何を言おうが別れてた。

ネロを飼うまでは癒しなんて存在しなかった。
だからこいつは俺にとってすっげぇ大事で可愛い存在。
ただのペットとか犬とかそんなもんじゃなくて、みさきと同じくれぇ大事。


『ネロ、うちのお袋うるせーけど可愛がってくれるから唸るなよ』

“フンーー”

俺の足元に伏せて離れようとしねぇネロを撫でながら話しかけると、デカくため息を吐いて俺をちらちら上目遣いで見てくる。

顎の下にはみさきからもらったネロがお気に入りのタオル。
ずっと使ってて、何度も洗濯したせいか結構色褪せてて、もうみさきの匂いなんてしねぇのに気に入ってるらしい。


『みさきに会ってみるか?』

みさきとは何度かスカイプもテレ電もしてて、その度にネロもみさきを見てたから多分声は分かってる。
それに、俺がみさきと会って自宅に戻るときはいつもみさきの匂いがしたはずだけど、唸ったことはなかった。

今まで同じことを聞くとそっぽ向いてたネロが、伏せてた体を起こして俺の膝に顎を乗せて甘えてくる様子は『会ってやってもいい』って言ってくれてるように感じた。

『俺の大事な女だから、威嚇すんなよ』

ネロは女への警戒心が強いせいか、本気で噛み付きにはいかねぇものの歯を見せて唸って威嚇する。

威嚇したときは後ろから触るとパニックを起こして俺にも噛みつこうとするから、触らずに少し離れたところから名前を呼んでゆっくり近づいて、喉元を撫でて落ち着かせることにしてるから、みさきが会えそうなら少し遠めから近づける

お互いにいい初対面になりゃいいな…

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