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最愛 【黒子のバスケ】

第12章 何度でも


ドアがノックされて返事をすると真太郎と玲子先生が部屋に入ってきた。


「そろそろ麻酔の時間なのだよ」

「みさきちゃん行かれそう?」

「はい」


麻酔をするとは言え痛みがあることは分かってるせいで体が強張ってしまう。

「あたし達ここで待ってるからね」

「目が覚めたらこの紅茶淹れてあげる」

さつきと美緒があたしを元気づける為に声を掛けてくれた。

検査入院の日程を話した時、お見舞い持ってくねって言ってくれた二人があたしに選んでくれたのは、可愛いシルクのルームウエアとあたしの大好きなTWGの紅茶


「行ってきます」

怖いけどそれに一人で耐えなくていいって思うといつもよりは心が軽かった。

それに、青峰君も電話していいって言ってくれたから今回は甘えさせてもらうことにした。

シカゴであたしが脛を打ち付けた時も、太ももを痙攣したときも、すごく強い痛みがあって怖かったのに、青峰君の低くてやさしい声と背中を撫でてくれる大きな手はあたしを安心させてくれた。



手術室に入って色々な機械をつけられて、手術着を着た先生たちに囲まれながら腕に点滴が差し込まれた。


それ以降はもう何も覚えてなかった。


ふわふわとした感覚から目が醒め始めて一番最初に感じたのは、太ももの内側に感じる鈍い痛みで、自分の意識がない間に真太郎の言った処置がされたんだと分かった。


「みさき…?」

「あ…美緒…」

目を開けると美緒の綺麗な顔があたしを覗き込んで優しく笑ってくれた。

「先生呼ぶね」

そう言ってさつきがナースコールを押してくれたからぼんやりとベッドに寝てたら突然気持ち悪さが襲ってきた。


「んっ…」

「気持ち悪い?」

副作用の書かれた紙を3人で読んでいたから近くにいた美緒が汚物入れを渡してくれてさつきが背中をさすってくれて嘔吐感をやり過ごしていると部屋の扉が静かに開けられた。


「気分悪いですか?」

麻酔科医の先生の問いに頷いて返事を返すと、せりあがってる不快感で生理的な涙が出た。

できるだけの診察をして、麻酔科医の先生から気分が落ち着いてから再度診るけど、一般的な副作用で特に大きな問題はなさそうだからゆっくり過ごすように言われた。

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