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最愛 【黒子のバスケ】

第12章 何度でも


ホテルに戻ってからも、火神に言われたことが頭から離れねぇだけじゃなくて嫌な想像が次々と浮かんでくる。


もし今日の麻酔で目が覚めなかったら
もし検査の結果悪性だったら
もし渡米前にもっとひどくなったら
もし渡米の為に乗った飛行機が落ちたら
もし手術が失敗したら

そして、もしみさきが死んじまったら…

嫌だ


今まで嫌なことなんて腐るほどあった。

でもこんな焦燥感は感じたことがなかった。
中学で目的を見失った時よりも今の方が何倍も苦しい。

バスケより大事なもんなんて一生できねぇと思ってた。
ましてや、現役のうちにバスケのことを考えられなくなる程俺を支配するものが存在するなんて思ったことすらなかった。


俺にとってみさきが総てだ。

みさきより大事なもんなんて何にもねぇ
それはこの先も絶対ぇ変わらねぇ


女って存在にロクに意味なんて感じてこなかったけど、みさきは存在そのものに意味がある。

いてくれるだけでいい。

付き合えれば抱けなくてもいいって思ってた。
でももう付き合えなくてもいい。
生きてさえいてくれりゃ俺はそれでいい。


今はとにかく日本に戻って少しでもみさきといてぇ。

今はこっちにいたってバスケはできねぇんだから日本にいたっていいだろ。


肘の手術まで2週間。
こっちで少しチームのことを外から見るのもいいと思ってたけど予定を変える。


『悪りぃ…日本行きで一番早く取れる便チャーターしてくれ』

『急だな。何かあったか?』

『みさきに会いてぇから帰る。ネロ連れてくから一般のフライトじゃネロに負担がかかるから、いくらかかってもいい。一番早く取れんの頼む』

『お前…まぁいい。分かった。こっちでのことは気にするな。こっちのスポンサー関係は今年だけは勘弁してやる。ただし、日本の仕事は全部やれよ』

『あぁ』


ライアンに連絡を取ってから、明後日までの滞在だったロスのホテルをチェックアウトして火神とメシを食いに出た


「俺今日CL戻るわ」

「は!?急だな…」

「後悔しねぇようにしろっつったのお前だろ」

「まさか日本戻るとか言わねぇよな…?」

戻るに決まってんだろ。それ以外ねぇだろ

「会いてぇんだよ」

「はぁ…みさきの事頼んだぜ」


最終の便でCLに戻って帰国の用意をしてると、明日の午後一で飛行機のチャーターができた連絡が入った
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