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最愛 【黒子のバスケ】

第12章 何度でも


side火神

電話を終わらせて青峰が俺にスマホを返しながら険しい顔でみさきの事を聞いてきた。

「動脈に近いとか輸血とか、あいつ大丈夫なんだろうな…」

いつから聞いてたんだこいつは…

俺だってすげぇ心配だよ。
大丈夫だってみさきは言ってるけど、動脈を傷つけたら大量出血を起こして今度こそ助からねぇんじゃねぇかって考えを必死に振り払ってる。

「絶対ぇ大丈夫なんて手術ねぇよ。お前だって難しい手術じゃねぇけど絶対大丈夫なんて言い切れねぇだろ」

「そういうこと言ってんじゃねぇ。今のみさきの状態を知っときてぇ。みさきに聞いたってどうせ俺のことばっか気にして話しゃしねぇんだからお前に聞くしかねぇだろ」

こいつ鋭すぎだろ…
ここまで鋭いクセしてなんでみさきの気持ちに気付かなかったのか不思議でしょうがねぇ

それに、考えたくもねぇけど万が一ってこともある。
そうなりゃ青峰は多分一生後悔する
みさきには悪リぃけど話すしかねぇな


「みさきの肉芽腫は動脈の近くで、切除の時に動脈が傷つけば大量出血を起こす可能性がある。そうならねぇ為にこっちで相当な経験のある医者を手配してるけど、その医者ですら脚のガーゼオーマは全体の1%以下しか摘出したことがねぇらしい。みさきは血液型が珍しくて尚且つアレルギー体質だから万が一に備えて自分の血液を事前に貯めておくことになってるけど、体重が少なすぎて現状でそれができねぇから今体重を増やそうとしてる」

考えながら説明してるとみさきがいなくなっちまうってことをリアルに想像して、言いようのない不安と苦しさが襲ってくるから聞いた事実だけをとにかく捲し立てた。


「……死なねぇよな?」

「絶対とは言い切れない。緑間も手術に立ち会うから少しでも危険があれば全摘出を諦めて神経に干渉してる部分をできるだけ取り除く。でもその場合また10年後くれぇに同じ手術を繰り返すことになる可能性はある」


みさきは俺にはここまで詳しく話さなかったけど、おばさんが連絡をくれた時に全ての状況を話してくれたから知っていた。


「…それでも…みさきに死なれんのだけは無理だ」

「俺だってそんなん無理だ。まぁこれだけは言っとくぜ…どんなことがあっても後悔しねぇ道を選べ」


「あぁ…そのつもりだ」


部屋を出る青峰の背中は今まで見た中で一番小さかった




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