第12章 何度でも
生検の為、あたしは今日から1泊で入院をする。
あたしがママに手術の前に生検で入院するって話したら、帰国するって大騒ぎされた。今回は一人で大丈夫だからってなんとかなだめて、パパからも言ってもらうと、渋々だったけど今回は帰国を取りやめてくれた。
「みさきー荷物ここ置くね」
「なんか欲しいものあったらいつでも言ってね」
あたしの入院を心配してさつきと美緒がわざわざ一緒に来て荷物まで持ってくれて病室に一緒に入った。
「なんでこんなに豪華な部屋なの?個室なら普通の部屋でいいんだけど」
「バカを言うな。当院の責任でお前に負担をかけるのに普通の部屋でいい訳がないのだよ」
案内された部屋は“特別室”
極秘で芸能人が入院したり、国会議員とかが使う仕様でベッドもなんか病院のじゃないみたい。
「そうそう。みどりん…次みさきの手術で何かあったらあたしが訴えちゃうから‼」
「緑間さん、みさきの事本当によろしくお願いします。ちゃんとヒール履けるように手術してくださいね」
「分かっている。そのために最高のチームを用意してもらうことになっている。俺は立ち会うことしかできないが…少しでも危険なことは絶対にさせないのだよ」
「ありがと。ロスにいる間は大我も一緒にいてくれるみたいだから」
ここの部屋は面会時間も関係ないし電話もPCもOKでWi-Fiすら使える。
まったく、なんて部屋なの…
今日の午後に生検をするためにその説明を受ける。
「生検の為に肉芽腫の5個所から組織を採取する。この針を刺して行う為に麻酔なしではできないから、当然麻酔はするが…全く何も感じないと言う訳にはいかない」
「どれくらい痛いの?」
「個人差はあるが…みさきの場合は精神的なこともあるから、局所麻酔では視覚から得た情報で痛みを大きく感じる可能性が高い。全身麻酔ですることもできるが、やはり負担はある。午後まで時間はあるからゆっくり考えて決まったら教えてくれ。玲子には当然立ち会ってもらうことになっているからそれは心配するな」
真太郎が部屋から出て行ってどうしようかと考えていたらさつきが声を掛けてくれた
「もし全身麻酔でするなら目が覚めるまであたし達いるからね」
「…ほんとに?」
「当たり前じゃん。火神さんからもみさきの事頼まれてる」