第11章 NBA
あの後、青峰に簡単に言いくるめられて、みさきと青峰が部屋に行って進藤と二人だけになると、こらえていた笑いが吹き出した。
「聞きました?黒子君を鈍感って…(笑)」
「お前が一番鈍感だっつーんだよな」
「しかも青峰さんが一緒に寝てるのが本当に寒いからだと思い込んでてもう鈍すぎて何も言えない」
「みさきがこんなに鈍いとは思わなかったわ。ありゃ多分告られても気づかねぇな」
「あー…それさつきとも話してました。多分みさきは“みさきが好き”って言わないと絶対伝わらないって」
「あいつ普段はそんなに鈍いって感じじゃねぇんだけどな。初恋とはいえ鈍すぎだ」
「みさきは他のことはめちゃくちゃ鋭いですよ。他人の恋愛とかもそうですけど、言われなきゃ気づかないようなちょっとした変化から相手のことを読み取るのがすっごく上手」
やっぱりそうだよな。俺の知ってるみさきは人の動きや表情から内面を読み取って嘘とかも結構見抜いてる。
他に気を取られる要素がなければ、ほぼ正確に相手の心理を読み取れるから若くてもフリーランスでやっていけるってパットからも言われてた。
「それなのに、みさきを騙しきった佐伯ってやつは相当手慣れてるな」
「仕事をエサにしたってところも大きかったと思います。それにあっちは単独じゃないし初犯じゃないって緑間さんが教えてくれて、かなりの件数やってるって話でした」
「だろうな。みさきはめちゃくちゃ警戒心が強いから騙すなんて容易じゃねぇはずなんだよ」
「確かに。みさきってあたしとかさつき経由で連絡先聞かれただけでも即距離取って……うちの社内にもみさきをいいって人が何人かいるんですけど、絶対に話しかけさせないオーラ出して、物凄く男の人を警戒してる」
「やっぱりそうなんだな。けど今は無表情じゃねぇ分少しだけマシかもな。あいつ日本に帰国した頃は笑いもしなけりゃ泣きもしなかった。怒り以外の感情がほとんどなかった。緑間や玲子さんのお陰もあるけど、お前らの存在もみさきにとってスゲーデカいと思う」
「そうだと嬉しいかな。最初はロボットみたいって思ってましたけど、あの事を聞いた時、ああするしか自分を守る方法がなかったんだって…」
「分かってくれる奴がいると俺としても安心できるわ」
「火神さんもいい人見つかるといいですね」
「そうだな(笑)」