第11章 NBA
「泣かないの」
「いつからそんなに泣き虫になったの?」
「ごっ……ありがとう」
真太郎にずっと言われてた。
“ごめんねよりありがとうのほうが嬉しいのだよ”
嘘つかせてごめんなさい。でもありがとう。
そう思ったから“ごめんね”って言葉をやめてありがとうを伝えた。
いつもあたしをからかって意地悪してくる二人だけど、この二人からはあたしに対する愛情がみえるからちっとも嫌にならない。
「それに、大ちゃんが万が一あの事を何かで知ったとしてもきっと今と変わらない」
「でも知られるのは怖いの」
青峰君の恋愛対象じゃなくてもそうことがあったって知られて、嫌われたりメンドクサイって思われたりするのが怖い。
こういう時にやっぱり自分は普通じゃないんだって実感させられる。
「分かってる。好きなんだもんそう思って当たり前だよ。でもみさきが話せるって思うようになったら16歳で日本にいたことは青峰さんにも教えてあげたらいいんじゃないかな」
「そうだね。やっぱ誤魔化したままって言うのはあたし的にもちょっとね…NYにいた時も高校の話になってあたし自分はずっとロスだったって嘘ついちゃったし…」
「それは悪いことじゃない。知られたくないことは誰にでもあるんだから。大ちゃんだって中2辺りからめちゃくちゃだったんだから」
「あー。涼太に聞いたかも…」
「え!?なに!?めちゃくちゃって…」
「「それは言えない」」
「きっと大ちゃんが話したいと思ったら話してくれるよ」
「青峰さんだって隠したい過去ぐらいあるってこと」
そうだよね。過去のない人間なんて絶対にいない。
知られたくないことのない人間なんて絶対いない。
みんな傷ついたり後悔したりしながらでも先に進んで行ってる。
すごく後悔してることもあるけどそれを教訓にしてるって青峰君も言ってた。
「だよね」
「というわけで、これからも青峰さんとイチャイチャしなさいね」
「イチャイチャなんてしてない‼」
「じゃあデレデレ?大ちゃんといるときのみさきってホント蕩けそうな顔してるもんね」
「そんな顔してない‼」
「「じゃあ…にゃんにゃん」」
「してない‼‼」
もうこの二人は…
すぐそうやってあたしをいじるんだから…
「「意地張っちゃって」」
「張ってない!もうご飯作りに行くよ‼」
「「はーい」」