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最愛 【黒子のバスケ】

第11章 NBA


side青峰

外に出ると結構風があって、3月後半といえどシカゴはかなり寒い。

「寒いっ‼大我マフラーちょーだい‼」

「なんで持ってこねぇんだよ」

「だって出かけると思わなかったんだもん。寒くて死んじゃう」

「ったくしょーがねーなー」


ライトに照らされてみさきの髪が金髪に見えて、火神が自分の首からマフラーを外してみさきに巻いて髪を引き出した。






これ……知ってるわ…


デジャヴ…
いや、これは確実に見覚えのあるシチュエーション






16歳の冬、さつきとバッシュを見に行ったあの店で、トイレから出た俺はこれと同じ光景を見た。


そして火神の連れてる女を見て「すっげぇ可愛い」って呟いた。



初めて俺が女を可愛いと思ったのはあの時だ

あの時の細い女の横顔がフラッシュバックのように脳内にはっきりと再生されて、みさきがモデルをした本の横顔とあの時見た横顔がぴったりと重なった。








なんだよ…お前だったんじゃねーか…






初めて女を見て高揚感を覚えたのは16歳の冬だった。
そしてその時見た女は間違いなくみさきだ

初めてみさきを見たのは緑間の結婚式じゃなくてあの時だ
















「みさき、お前16歳の冬、日本にいただろ」






「えっ…」

「何言ってるの大ちゃん!?みさきはずっとロスだよ!?」

「青峰さん、みさきはずっとロスです」






あまりの衝撃に思わず自分が口走ったことがマズかったのか、さつきと進藤がすかさず否定してきた。

そして当の本人は火神と一緒になって目を見開いてフリーズしてる

「そうか…ならいい」



そうはいったものの一回凍った空気はすぐには元に戻らねぇ

やっべぇ…マズったな…

「もー!大ちゃんが突然おかしなこと言うからみさきもかがみんも何も言えなくなっちゃったじゃん」

「あーワリィ。完全に思い違いだ。みさきからもずっとロスだって聞いてたわ」


若干無理矢理だったけどさつきがいつもの調子に戻してくれたおかげで、そのあとは普通の空気に戻って、車内でもみさきはさつきと進藤とケラケラ笑ってた

けど火神だけは俺の言ったことを気にしてるのか難しい顔で窓の外を見続けてる。

帰りは俺が運転して正解だった。
女3人乗せて考え事してて事故りましたなんてシャレになんねぇ。
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