第11章 NBA
電話を切ってスマホを見るとメッセージが届いててポップアップをタップするとずっと返信のなかったハンナからだった。
(連絡できなくてごめんね。元気にしてるわ。タイガにチョコレートおいしかったって伝えてもらえるかしら?)
どうして自分で言わないんだろ…
それなりに連絡取ってたなら自分から言ったほうがいいのに
(自分で言わなくていいの?)
(タイガと連絡取るのやめたいのよ)
(大我何かした?)
大我が人から遠ざけられることなんて初めてであたしが戸惑ってしまう。
(あたしの勝手な都合なの)
(話したくなければ聞かないけど、話せるなら聞かせてくれない?)
(少し時間が欲しいの。みさきにはいずれ話すわ)
どうしたんだろ…
でも大我にチョコのお礼は伝えておかないといけないよね…
「大我、ちょっと…」
「どした?」
みんなのいるリビングからダイニングに移動して仕切りを閉めてからハンナから連絡がきたことを伝えた。
「なんだって?」
「チョコレートおいしかったって」
「そっか」
「ねぇハンナとなんかあったの?」
「は?別に何にもねーよ」
「そっか」
大我の顔を見る限り本当に何も心当たりがないようだし、大我に限って人を傷つけるようなことをするとは思えない。
でも人は些細なことでも深く傷ついてしまうこともある。
「なんか言ってたのか?」
「うーん。ちょっと時間が欲しいって。それだけ」
「なら俺からも連絡すんのはやめとくわ」
「うん…でも大我を嫌いとかじゃないと思うから」
「ははは!なんでお前がそんな顔すんだよ」
「だって大我はハンナが好きなのかなって」
試合前に聞いてきたことといい今の心配そうな表情といいもしかしてそうなのかなって思った。
「好きだけどそういう好きとかじゃねーよ。友達だ」
「あ、そうなの?大我が失恋しちゃうのかと思ってちょっと悲しくなっちゃった」
「初恋のお前に心配されなくても大丈夫だっつーの」
「何それ!!じゃあ大我がいつか失恋してもあたし絶対慰めないからね」
全く人が本気で心配してるっていうのに大我ときたら…
でもハンナのことはすごく心配。
ハンナはどっちかといえばメッセージに絵文字とかあったのに今日は1つもなかった。
なんか元気ないのかな…
ただの取り越し苦労ならいいんだけど…