第11章 NBA
「おはよう…」
「起きたか?」
「うん。手…気持ちいい」
「脚は?」
「大丈夫」
大きくて暖かい手が触れるのも、低くて優しい声が鼓膜を揺らすのも堪らなく心地いい。
「細せぇ指だな」
「長い指だね」
マッサージをしてもらいながらだらだらとベッドに寝転がり続けるあたしを罰するかのようにスマホの着信音が耳元で鳴り始める。
「ママだ…なんだろ」
「俺いたらマズいか?」
「全然」
ママはあたしが青峰君を好きでNYで一緒にいたことも知ってるし、パパみたいに反対したりしてないからそのまま電話に出ることにした。
「もしもし…」
「みさき?今どこにいるの?」
「国内線で電話してきてそれ聞くの?アメリカ来てる」
国内電話で電話してきて繋がってるんだから当然国内に決まってる。何を聞いてくるのかと思ってしまう。
「そうじゃなくって。たいちゃんの試合見に行ったでしょ?」
「なんで知ってるの!?」
「昨日の試合がテレビで今やってるんだけどみさき映ってるわよ」
「うそ!てか、ママが一人でバスケみてるなんて珍し」
「何言ってんのよ。今ママはDCに来てるのよ」
でた。ママのパパに会いたくなると我慢できない病
「またパパのとこ行ったの?ってことはまさかパパと見てるの?」
「当然じゃない。パパに代わる?」
空港であんなに反対してきたパパに今青峰君といるなんて知れたら何を言われるか分かったもんじゃない。
それに、あたしが映ったなら多分青峰君だって映ってる。
「いい。代わらない」
「パパ気づいてるわよ。隣に座ってたの青峰さんでしょ」
「ちょっと!もう切るから」
「ダメよ!たいちゃんに代わって。シカゴならたいちゃんのお家に泊まってるんでしょ?」
「うん。今じゃなきゃダメ?」
「今よ」
せっかくマッサージをしてもらっていい気分だったのに…
電話に出なければよかった。
渋々ベッドを出て二人でリビングに行くと、もうみんな起きてて大我がジェイクと遊んでた。
「おはよー」
「「おはよーキティ」」
何故かみんなであたしをキティって呼んでる
「大我。ママ。なんか電話代わってだって」
「おー」
大我に電話を渡してジェイクにおはようのキスをするとジェイクもキスを返してくれた。
『キティおねむ?』
『もう眠くないよ。一緒に遊ぼ』