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最愛 【黒子のバスケ】

第4章 揺れる心




近い…
マジで近すぎ


メイクを見てるんだってのは分かるけど、すげぇ近くて笑っちまいそうなのを必死にこらえた


「触ってもいいですか?」

「あぁ」


柔らけぇ指に顔を触られて、すげぇ変な気分になる

なんつーか…
触り方が優しい分若干エロい



「落とすので目を閉じてください」


黒須はそんな事ちっとも思ってねぇから真剣そのものだった


黙って俺のメイクを落として化粧水をつけてなんかジェルっぽいものを塗ってくれた

すげぇ静か
何もしゃべらねぇ

なのに気まずいとかじゃなくて落ち着く

「肩触っても平気ですか?」

「あぁ」


俺の許可を取って肩に置かれた小さくて温かい手が、運動ができなくて固まった肩と首をゆっくりほぐしてくれた。

すげぇ気持ちいい…

触られんの、全然嫌じゃねぇ


「はい。終わりです。お疲れさまでした」

「サンキュ。無理やり頼んじまって悪かった」

「全然いいんですけど、この仕事も取った取られたがあるんで、他のメイクさんのクライアントに手出したことがバレるとちょっと気まずいんです。だから青峰さんも絶対内緒にしてくださいね」

鏡越しに目が合って控えめに笑う黒須が小声で理由を教えてくれた。

そうだったのか

「悪かった」

「私は全然大丈夫なので、もし機会があったら今度は使ってください」

渡された名刺はすげぇシンプルだった


名刺をもらって筆やら何やらを触ってる黒須を見てると、取材を終えた黄瀬が戻ってきた。

「仲良しのお二人でゆっくりお話ししてください。30分後にまた来ます」

それだけ言って静かに部屋を出て行った。


別に仲良しではねぇんだけど、黄瀬に気を使わなくていいのは確かで、気遣いが嬉しかった。

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