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最愛 【黒子のバスケ】

第4章 揺れる心



取材を終えて部屋を出て控室に戻ると、メイクはまだいて、話しかけられたくなくてすぐにトイレに逃げた。


「あれ⁉青峰っち⁉」

トイレを開ける直前に聞こえた聞き飽きた声。

「よう。お前もここで仕事か」

「そっス」

「女のメイクがうるせーってのすげぇ分かる」

「俺の今日のメイクさんは静かっスよ。まだ帰んないなら俺の控え室にいていっスけど……」

静かならもうどこでもいい
取材前のうるせぇ女を思い出すと自然と眉間にしわが寄った。


「そいつこれ落としてくれるか?」

「多分やってくれる」

「じゃあ頼むわ」

落としてくんねぇならしょうがねぇけど、落としてくれんならこのべたべたした感じから一刻も早く解放されたかった。

あのメイクがいる部屋に戻るのは嫌だったけど、この後静かに過ごせるならと一度荷物を取りに戻って、メイクにはそのまま帰るっつって速攻で逃げた。

「ここっス」

黄瀬が部屋を開けるとポニーテールの小柄な女がいた

ゲッ。女かよ…
てっきり男だと思ってた




「あれ?黄瀬君、忘れ物?」

振り返らねぇけど声を聞いた瞬間に分かる

「黒須か?」

分かってるくせに聞くとか…俺は中坊か

「青峰さん!?」

「おう」

「今日ここだったんですね。私、今日黄瀬君のヘアメイクさせてもらってるんです」

「そうだったんだな。……なぁ、これ落としてくんね?」

「え?メイクさんいないんですか?」

一瞬ゲッて顔した。
やってくんねぇならしょうがねぇけど、できりゃ落としてぇ

「そーじゃねーけど…」

「みさきっち。俺からもお願い。今日のクライアントは俺だから俺のお願いなら聞いてくれるっスよね」

「…承知しました。でも絶対口外しないで。絶対内緒です」

いつもより口調が強かった

怒らせたか…?

黄瀬がインタビューに戻って二人になって何となく気まずかったけど黒須が笑ってくれた。

「座ってくれないと届きません」

「小せぇな。牛乳飲めよ」

「小さいのコンプレックスなのでいじるの禁止です。それに牛乳は……嫌いなんです」

コンプレックスなのか…
小さい方がかわいいと思い込んでる女が多いから小柄なことをコンプレックスっつーのは意外だった


しかも牛乳が嫌いって言った時の顔、なんかすげぇ可愛かった

「悪かった。もう言わねぇ」
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