第11章 NBA
ソファで言い合う、多分もう結婚してると思われる二人をしり目に、みさきが淹れてくれた紅茶をダイニングで美緒と一緒に飲んでる。
「ねぇ美緒。あんな言い合いある?」
「ない。ベッドから出るなって…。そしてみさき何で気づかない?あそこまで言われてされてなんで気づかない?」
「みさきってさ、鈍感とかじゃないよ。多分ただのおバカちゃんなんだよ。」
「あたしもちょっとそう思った。青峰さんは直接好きって言わなくても態度と全身で表してるじゃんね。あれでなんで分かんないの?」
「しかも大ちゃんなんてちょームカつくことにあたし達のこと視界に入れてすらないからね。みさきまっしぐら」
「ほんとそれ。みさきまっしぐら。猫のエサかってぐらいまっしぐら」
あたしたちがみさきと大ちゃんのことを話してるとかがみんが戻って来た。
「「おかえりなさい」」
「ただいま。あれ、みさきまた寝たのか?」
「大ちゃんが…」
「青峰さんが…」
「は!?あいつが何!?」
「「みさきまっしぐら」」
「分かるように説明してくれ。どこ行った?」
美緒と一緒にソファの方を指差すと笑ってるかがみんがそこを覗いて呆れた顔で戻ってきた。
「みさきも青峰も寝てる」
「「見にいこ」」
大ちゃんがみさきを抱き込んで、みさきが大ちゃんのパーカーを握って二人で幸せそうな顔をして寝てる。
幼馴染と親友なのに二人のこんな顔を見るのは初めてかもしれない。
男の人に向ける表情はいつも無感情で同じだったみさき。
女の人をほとんど好きになってこなかった大ちゃん。
この2人がこんな風に想いあってるのは、やっぱり運命なんだと思う。
「みさきが男の人にこんな風に甘えてるなんてちょーレア」
「大ちゃんが女の子を抱きしめて寝てるのなんてちょーレア」
「ねぇこれ写真撮る?」
「バレたらヤバくない?」
「バレねーだろ」
いつの間にか来ていたかがみんが二人の写真を撮ってあたしたちにくれた。
んー…
寝がえりしたみさきとすかさずその手を握って指を絡めた大ちゃん。
「ねぇ。寝てるのにラブラブすぎじゃん。もうつっこめない」
「大ちゃんみさきがいなきゃ寝れないんじゃない?」
「青峰もみさきもどうなってんだよ…朝からマジで胃もたれするわ」