第11章 NBA
「あ…」
もうなんでここにいるの??
絶対またこの2人にからかわれる!
「「いたー!!!」」
「ちょっと大ちゃん!勝手にみさきを連れてかないでよね!」
「別にいいだろ?お前らがほったらしてたんだから」
「ちょっと!今それどころじゃないでしょ!これ!!」
そう言って美緒が見せてくれたスマホの画面には、昨日の試合の直後に青峰君があたしをハグしてる写真が写ってる。
キャブスの選手と奥さんもちょっと写ってて、美緒もさつきも大我も写ってるけど、明らかに青峰君とあたしを撮った写真だってことは分かる。
「なにこれ?!なんで!?」
「あー。火神に聞いてて今話そうと思った」
「「知ってたの(んですか)!?」」
「昨日の夜聞いた。だから一応みさきも顔隠してけよ」
そういう事だったんだ
…あたし最低
あたし今ほっとしてる。
青峰君に好きな人がいるって分かってて幸せになって欲しいって気持ちは嘘じゃないのに、他の人のところに行っちゃうってリアルに感じると嫌でたまらない。
青峰君を好きになる前はただの恋愛嫌いだったのに、今はこじらせすぎてただの面倒くさい嫌な女になってる。
「みさき?聞いてた?」
「え?何が?」
「何がじゃなくて、今大ちゃんが言ったの聞いてた?」
「顔隠して行くんだよね」
「その後!」
「あ、ごめんぼーっとしてた」
「大丈夫か?」
青峰君が頭を撫でてあたしの目線まで腰を屈めて優しい声で聞いてくれる。
「うん。大丈夫」
「疲れてんならまだ少し時間あるから休んでろ」
「大丈夫だよ。疲れてない」
「ならいい。お前の顔は写ってねぇから多分大丈夫だろうけど、もしもって事もあるから1人になるなよ」
「あ、分かりました。じゃああたしも用意してくるね」
やっぱり今日はお化粧する気分じゃない。
保湿して眉だけちょこっと足して帽子とマスクとサングラス。
ブルズのトレーナーを着てリビングに行くと、3人がもう用意を済ませてソファで盛り上がってる。
「すごーい!コメント1万超えてるー!」
「♡80万もついてるじゃん!これ一般人の投稿でしょー??」
「勝手に撮るんじゃねーよ。ナントカの侵害だろ?」
「大ちゃんが悪いんでしょ!」
「あたしもそう思います。みさき腰抜かしちゃったじゃないですか」
「ちょっと!腰抜かしてないから!!」