第11章 NBA

ハーフタイムに相手チームの選手がプロポーズするから、OKが出たら全員で出て行って祝福をしてほしいってことが主催者側から試合前に伝えられていた。

ハーフタイムや試合終了後のプロポーズやサプライズは毎回やらねぇにしてもすげぇレアって訳じゃねぇ。

若いころは試合に集中させてくれよとか思ってたけど、キャリアを積むうちに、そういう外的要因に左右されてるうちは自分が甘いんだってことに気付いた。

試合中であってもハーフタイムのサプライズでは敵も味方もねぇ。
いいことなら祝福するってのがスポーツマンシップってヤツ


俺がコートに入っても選手紹介されてもボケッとして、見たことねぇような間抜け面のみさき。


いや……あれで俺を好きなんて嘘だろ
好きなら、キャーくらい言うんじゃねぇのか？

それでも、TOやらQの間でベンチに戻った時や、スローインの合間の一瞬のよそ見でも、みさきはずっと俺を見ていてくれてるような気がした。

バスケが好きで俺のプレーを好きだと言ってくれてるファンには感謝してるしありがてぇって思ってるけど、やっぱり俺にとってはどんな時でもみさきの存在が一番力になる。


序盤から思い通りに試合が運ばず、焦りのせいかパスが仕事のはずのPGがパスコースのミスを連発して第一Qは何とか食らいついて同点で終えた。

第1Qのリズムの乱れを修正するためにPGを交代させて調整を図りながらの第2Q。当然リードを許した。
PGが試合の感覚をつかみ始めて第2Qが残り6分。
とにかく1点でも多く点を詰めとかねぇと後々しんどい。

SGを使って外から、センターを使って中からの2パターンで得点を重ねて俺はSGが動きやすいようにスペースを作る。
地味かも知んねぇけどチームの勝利の為に自分ができることを全力でやる。
一人で勝てる試合なんてねぇ。


第2Q最後のシュートになると思ったところで俺にボールが回ってきて、最初は自分で決めるつもりだったけどSGが自分でマークを外してパスをもらいに出たのが見えた。

ここで俺が2点よりあいつが3点決めた方がいい

瞬時にシュートからパスに切り替えてSGにボールが通った。

あいつと俺以外の全員が俺のシュートだと確信していたせいか、虚を突かれた相手チームはブロックが間に合わずブザービーターで3Pが決まった。

点差は3点
後半は逆転するだけだ