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最愛 【黒子のバスケ】

第11章 NBA


「自分でやる?」

「そんなん使ったことねぇ」

「あたしがしてもいい??」

「頼む」

手を出してもらって他の爪を見て違和感のある指を確認すると端が少しだけ切り損ねてる

「少しづつ調整するから、いいと思ったら止めてね」

「分かった」

ヤスリをそっと滑り込ませて力をかけずに一方方向に引いて余分な部分を削り落としていく

「痛くない?」

「あぁ」

数回引いたところで「もう大丈夫だ」って言ってくれたから粉を払って手を拭いて終わり

「触って違和感ない?」

「ねぇよ。…なぁ」

「ん?」

「あれやってくんね?指のやつ」

多分NYでやったギュってして離してってマッサージのことだと思ったけど違ったら恥ずかしすぎるから一応確認した

「指のマッサージのこと?」

「あぁ」

「いいよ」

青峰君の指を1本ずつぎゅっと握って離して根元から指先に向けて挟んで扱く

「痛くない?」

「すげぇ気持ちいい」

全部やって最後に指の間にあたしの指を入れてギュってしてから両手で青峰君のすっごく大きい手を挟んで潰して解放する

「おしまい」

「ありがとな。飯も風呂も爪もマッサージも、すげぇ感謝してる」

「そんな大したことできないけど…」

言葉を遮るように青峰君がぎゅっと抱きしめてくれてた

「シーズンオフんなったら軽井沢行こうぜ」

「えっ?」

「星見たいんだろ」

覚えててくれたんだ…それだけですっごく嬉しい

「うん。行ってくれるの?」

「日頃のカンシャってやつだ」
優しく笑って、頭を少し撫でてからあたしを離してくれた

大我のいつも乗ってる方じゃない車にエンジンをかけて車を温めてる間に補食を渡す



朝8時、青峰君が試合に行く

「いってらっしゃい」

「ハグしろよ」

「え?」

「いいだろ」

「じゃあ失礼します」

少し距離を縮めて手を広げたらギュっと強くハグしてくれた

「気をつけて来いよ」

「青峰君も気をつけてね。行ってらっしゃい。頑張ってね」

「行ってきます」

あたしの頬を一撫でしてガレージに出て行った
もう…なにこれ
朝から倒れそう
かっこよすぎて優しすぎてドキドキしすぎて何が何だか分かんない

車が出て行くのがキッチンの窓から見えて手を振ったら窓から手を出して振返してくれた


そして聞こえる悪魔の声

「「みーちゃった」」
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