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最愛 【黒子のバスケ】

第11章 NBA



「言わねぇよ。みさきだって5月にデカい仕事控えてんだから、余計なこと考えさせたくねぇし俺だって今突っ走って振られたら試合に集中できねぇ。シーズンオフとみさきの仕事のスケジュールを聞いて、時間取れそうな時にちゃんと話す」

「そーかよ」

27年間誰のところにもいかなかったみさきが、俺の手を離れる時がすぐそこまで近づいている。
寂しさはあっても悔しさはなくて、ホッとしてるってのが正直な感想だ

「お前、今どう思ってる?」

「はぁ?」

「みさきの事好きなんだろ?俺にカッ攫われそうな今この瞬間お前はどう思う」

「ホッとしてる。みさきが人を好きになれて、運良くそいつもイイヤツで両思いなんだ。嬉しくねぇわけねぇだろ」

「なら、お前のその気持ちは家族愛ってのだ。さっきお前の言った“家族として愛してる”ってことだ。マジで惚れた女は絶対ぇ譲れねぇって思うんだよ。ほかの男を好きだろうが付き合ってる奴がいようが、奪ってでも欲しいと思うのが女として愛してるってことだろ。お前もそーゆー女を見つけろ」

「……チッ!てめーに恋愛諭されるとは俺も落ちぶれたもんだ」

「はぁ!?ふざけんな!おめーより経験ホーフだっつーの」

「お前あっちだけはいっちょまえだもんな」

「てめぇぶっ殺すぞ!」

「追い出すぜ。みさきとの貴重な時間を棒に振りたくなきゃ家主の俺にカンシャしやがれ」

「チッ!くそったれ」

青峰に言われた言葉がストンと胸に落ちてきた。
多分俺は確かにみさきを好きだった。
母さんが死んで、母親からの愛情を覚えてない俺は、近くにいて安心出来る女はみさきだけだった。
だからそれが恋だと勘違いした。

みさきと同じ部屋で過ごして理性と戦ったことはあったけど、いざ抱いていいと言われても俺は多分抱けなかった。

みさきを忘れたいと思って彼女を作ったこともあったけど、無駄な抵抗だったのは、そもそも俺はみさきに恋してたんじゃなくて母親の愛情みてぇなのを感じてたから、そっちの方が居心地がよかったからなんだ。

そんな事を青峰に気付かされるなんてくそむかつくけど、間違ってねぇわ

「まぁ俺もさつきを好きだと思い込んでた時期があったしな」

「桃井は巨乳だからだろ」

「ちげーよ!...安心感ってのがあったんだよ。でも好きってのは安心感よりも高揚感だろ?」




へぇー。俺それまだ知らねぇわ
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