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最愛 【黒子のバスケ】

第4章 揺れる心



みさきが恋愛を怖がるのも分からなくはねぇし、怖がるななんて口が裂けても言えねぇ。

ずっと苦しむみさきを見てたから、迂闊なことを言って傷つけることだけはできねぇ。



みさきは恋愛を避けるあまり青峰を好きになることが一番悪くて怖いことなんだと思ってる

だから怖いと思ってることを整理させたかった
ゆっくり、ぽつぽつと自分の考えを整理しながら、ぽたぽたと大粒の涙をこぼしながら少しずつ話してくれた

辛くて、苦しくて、怖くて泣いているみさきを見るのは正直俺もしんどい。


みさきの言いたいことが全部言えたことを確認して思ったことは

やっぱりな…

だった


みさきの恐怖の対象は青峰でも青峰を好きになることでもねぇ。
それだけは自覚してくれ…


恋愛は誰とするかが大事なんだということをもう一度話して、怖い気持ちも分からなくはねぇけど、手にできる幸せを自ら手放すことはやめてほしいということをできるだけ優しく、伝わってくれと願いながら話した。

時間をかけて好きになろうが、一目惚れだろうが、うまくいくやつも別れる奴もいる。

大事なのは好きになった先だ
どうやって相手を好きになったかなんて関係ないんだよ


みさきはちょっと変わってて男が怖くて距離を取るって感じじゃない。まぁそれも0ではないと思うけど、とにかく好きになられるのを猛烈に嫌悪する。

恋愛なんて不毛で自分勝手で無意味で思い通りにならないとすぐに色褪せるくせに人を変えてしまうものだと思っている

けど人はそんなに簡単に変わらねぇ

あの男はああいう人間だったんだ
青峰とは決定的に違う


「大我…」

俺を呼んだと同時に強いハグ

でも恋人にする感じじゃなく親しい人にするハグ
だから俺もハグを返す

細い肩を震わせて泣いて…

落ち着かせるように背中を撫でると呼吸が整ってきて俺の肩に顎を乗せて深呼吸をし始めた


「顔見ないでね」

「お前の泣いた顔なんて何百回も見てる。今更驚きゃしねーよ」


「あたし…」

みさきの心臓がものすごい速さで動いて俺に伝わる





何度か深呼吸した後小さく呟いた











「青峰さんがすき…」




やっと認めた。


蚊の泣くような小さな声で、だけど確かにみさきは今、自分が人を好きになったことを認めた


失恋か……
でも思ってたよりダメージは少ない。
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