第4章 揺れる心
仕事から戻るとオフだったみさきが家にいて、俺の愚痴を聞いてくれたのはいいけどその雑誌を買って読むつもりらしい。
マジで勘弁してくれ
ハズすぎる…
好きな女に色々知られんの普通にハズイだろ‼
久しぶりにゆっくり一緒にいて、昨日読んでいた紙が気になって聞いてみるとサンプルの香水の紙だったらしい。
今日はそれを付けてるらしく「くさい?」とか聞かれて笑っちまいそうになった。
他に聞き方あんだろ⁉
まぁ匂い自体は分からなかったからそれを言うと寝室から持ってきてくれた。
けど、開ける前にみさきからいつもと違う匂いがしてどんな匂いなのかは分かった
結構好きな匂いだった。
そして、みさきが何の気なしにコンセプトの事を話し出して自分の年齢で初恋だなんておかしいとか言いだした。
けど商品コンセプトまで気にして香水選ぶ奴なんているか?
それに俺は別に初恋が何歳だろうが何人と付き合おうがどうでもいいと思ってるからそれをそのまま言うと、目を丸くしてびっくりした猫みたいな顔で俺のほうを見てる
確かにみさきは遅めなのかもしれねぇ。
けど誰かを好きになってくれただけで俺はよかった
「聞いてくれる?」
遠慮がちな声だった
けど確かにそう言った
「いいぜ」
思ったよりも早い。もっともっと時間がかかると思っていた。
数年前よりも少しは心の傷が癒えているのかもしれねぇ
いざ話し出すと青峰のことが頭から離れない…と言ったきり黙り込んで涙をこらえてる。
自分から話すって言った手前全部を話さなきゃいけないと思ってるみさきに、そうじゃねぇってことを伝えると、息を吐き出して質問に切り替えられた
いつから気付いてたかなんて…最初から気づくに決まってんだろ
あんな露骨な奴少ねぇし
本人から青峰を好きだと聞くのはやっぱり少し胸が痛んだ
それでも何とか自分の思いを伝えようとするみさきの言葉を聞き逃さないように集中した
好きになっちゃいけない、一目惚れなんてダメだととにかく恋愛否定して…
けど恋愛っつーより自分を否定してんだろうな…みさきは…
玲子さんも言ってたけど、とにかくみさきは自分が悪いと思い込んで自分が恋愛することを頑なに拒む。
すこしでも接近してくる男がいると恐怖ですぐに距離を取る
そして自分が好きになることも絶対にダメだと思ってる