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最愛 【黒子のバスケ】

第1章 視線の先


side火神

緑間の結婚式に呼ばれた時から桃井が来ることは予想してた。

みさきから実家を出たとメッセージを貰って、桃井にどの程度緑間との関係を話しているのか気にはしてたけど、あえて聞かなかった。

まぁ、気軽に話せることでもねーし、言ってなかったとしても、なるようになんだろ。


それに、俺がその話題を出すことで嫌な記憶をわざわざ思い起こさせるのも避けたかった。




式当日、日本で車を持ってない俺は結婚式の会場までは赤司が車を用意してくれて、あいつらと揃って行くことになった。



「待たせたね」

リモから降りた赤司は、高校の時よりも帝王っぷりに磨きがかかっているものの、醸し出す雰囲気は柔らかい。
大切なものを失いたくないと力で周りを支配するのではなく、失わない為に自分の弱さを受け入れた赤司は、アメリカでも一流の経営者として知られていた。




「みんなで揃うのすげー久しぶりっスね!緑間っちが結婚なんてびっくりっスよ!青峰っちいつまでこっちにいられるんスか?!久しぶりにバスケしたい!」

みんなとの再開が余程嬉しいのか終止テンションの高い黄瀬

「あ?2週間はいる。バスケは気が向いたらな。つーか、うるせぇからもっと声のボリューム落とせ」

時差ボケから抜け出せずダルそうな青峰

「ケーキ早く食べたい~」
とにかく甘いものの事しか考えてない紫原

「みんな、久しぶりだね!!」

嬉しそうに屈託ない笑顔を振りまく桃井

「みんな元気そうでよかったです」

相変わらずの敬語で影の薄さも変わらない黒子

青峰と一緒に帰国した俺も若干時差ボケが抜けずあくびを噛み殺して、早く外の空気が吸いたいと思ってたら絶妙なタイミングでサンルーフが開けられた。



「青峰も火神も少し外の風にあたるといい。式中に寝ていてはみっともない」
相変わらず先読みしてくる赤司。


こいつら全然変わんねーな。


高校で知り合って10年。
歳を重ねても変わらねぇことに笑みがこぼれた



教会での式は厳かに執り行われた。


緑間の低くよく通る声で“誓います”と聞こえた時は不覚にもアイツをかっこいいと思った。


式を終えてガーデンに出てウェルカムドリンクを飲んでいると、みさきからのメッセージが入って、近くにいた赤司に「知り合いが到着したから迎えに行ってくる」と伝えてエントランスに向かった
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