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最愛 【黒子のバスケ】

第1章 視線の先


仕事の時、自分は濃いメイクはしないけど今日は特別。

目元は華やかに、リップはいつもよりツヤのあるものにして、髪もアップにまとめた。

表参道のセレクトショップで一目惚れした膝下丈のペンシルラインのシンプルな青いドレスは、少し広めの背中のVカットとシャープなラインのリボンがポイントだと店員さんが勧めてくれた。

仕事では履かないけど大好きなヒールとクラッチバッグ。
おしゃれって気分が上がる。


タクシーに乗って会場に着いたのは予定の20分前で、披露宴に予定通り参加できることにホッとした。


(着いたよ。どこにいればいい?)

(エントランス来れるか?)

(行くね)


受け付けを済ませて、エントランスに置かれた上質なソファに座って大我を待ってると、ガーデンから花の香りが漂ってくる。

真太郎タキシード似合うんだろうなぁ
またあの真面目そうな顔してるのかな?
玲子先生のドレス姿楽しみだなー。
先生は美人だから絶対どんなドレスでも似合っちゃう


披露宴が楽しみでそんなことを考えてるとついつい頬が緩んでしまって、変な人だと思われそうで表情を引き締めると、カツカツと足音が近づいてくるのを感じて、振り向くと思った通りの人物だった。

「みさき」

「大我!久しぶり」


久しぶりに見る大我は相変わらずの赤い髪としっかりした体つき、長いスライドで歩み寄ってきて屈託のない笑顔を見せる。



「分かってると思うけど、桃井いるぞ」

「ん、わかってる」

「緑間のこと何も話してねぇの?」

「なんか話すタイミングなくて…」

「まぁ無理すんな」



さつきは真太郎と親しい知り合いだって大我から聞いてたから、話した方がいいのかと思ったけど結局今日まで話せなかった。



「ドリンクあるしガーデン出るか?」

「うん!」

少し暗くなるあたしに明るく言ってくれて、ガーデンに出たとたんさつきに見つかった。


「え……みさき?えっ…なんで?」

「真太郎の奥さんとね、親しくさせてもらってるの」

「えっ……みどりんのこと……真太郎って呼んでるの?そんなに親しいの?」

訳が分からないと言った感じに矢継ぎ早に質問をしてくるさつきを見て、大我もさすがに苦笑してる。


「ごめん。それはまた今度話すから……今は…」

「…そだね!今日は思いっきり楽しも」
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