第10章 near &far
「護身術とオセロ…」
他にも色々あったけど主にやったのはこの二つだもん。
あたしがめそめそ泣いたことやヘマしてルームウエアを忘れたことは絶対言わない。
「「はい!?」」
「さんざん勿体ぶったから何かと思えばあのリッチな部屋でそんな色気のないことしてたの!?」
「みさき…大ちゃんそれで何も言わなかったの?」
あのさ、この2人何か勘違いしてらっしゃるようなので声を大にして言わせていただきます。
「だ!か!ら!青峰君はあたしを女の人だと思ってないの!どんなに良く見積もっても友達だし、もしかしたらただの大我の幼馴染程度にしか思ってないの。青峰君は好きな人がいるんだからあたしとどうこうなると思ってる二人のほうが変なの!分かった!?」
「「…」」
「分かったら返事でしょ!」
「「…」」
「あ、そうやって無視するなら今日のスペシャルな贈り物は渡さないから」
「「それとこれとは別!」」
まぁ確かに…このチケットは4人からの贈り物だからあたしが渡さないなんてことはできない。
「…」
「無視したってダメだよ」
「取り敢えず先にそのスペシャルな贈り物をおねぇさんたちに見せてごらん」
だから、二人はいつからあたしの姉になったの?
でも喜んだ二人のおねぇさんたちを見たいからあたしも素直にキャビネットからチケットを取り出した。
「こっちがキャブスでこっちがブルズだよ」
「「わー‼本物のNBAのチケットだー!」」
「関係者用にチームが押えた席だからどっちもすごくいい席で選手の表情とか喋ってる声とかも聞こえると思うよ」
「楽しみだね!」
「みさきが鼻血出してもいいようにティッシュたくさん持って行こうね」
「もう出さないもん!!」
…分かんないけど。
それぞれの彼氏もバスケをしてたしさつきは元々バスケ大好きだし美緒だって黄瀬君の影響でバスケは好きみたいだからチケットを見て小躍りしながら喜ぶ2人。
この2人をさらに喜ばせるサプライズの封筒を取り出して航空会社の名前は隠して2人に見せる
「これなーんだ」
「え、なに?」
「航空会社の封筒?」
「あ、良くわかったね」
名前は隠してても独特の青い線でさつきが封筒を言い当てた。
「この間テツ君が持ってた封筒に似てたから」
黒子君は外資系企業に勤めているから結構出張で飛行機を使うみたい。