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最愛 【黒子のバスケ】

第10章 near &far


俺の答えに軽く笑って「普段強引なお前とは思えねぇな」だとよ。

「でもお前がそういうんで助かった。みさきがそうなったときにこっちが頑なにそれを否定したりするとみさきも余計頑固になるから否定せずに受け入れてやって欲しい」

「あぁ。つーかそこまで理解してんならお前がみさきに好きだって言やいいんじゃねぇの?」

多分誰よりもみさきを理解してる火神ならみさきだって安心できるだろうし、そのうち火神を男として見るようになるかもしれねぇだろ。

「俺じゃダメなんだよ。みさきが惚れたやつじゃなきゃ意味ねぇ」

「だったら俺だってダメだろ」

「諦めねーんだろ?みさきが今片思いしてる男よりも自分のほうがいいって思わせてぇなら、みさきが泣いたり不安になった時に寄り添ってやれ。俺もお前をオーエンしてやるよ」

「ケッ!ヘタレのくせに偉そうに言いやがって」

でもまぁ火神が引くっつーなら俺は遠慮しねぇし、オーエンしてくれんなら幼馴染から認められたって思っていいだろ。



みさきの意見を真っ向から否定することはしなくても“はいそーですか”って聞いてやれるような人間じゃねぇ。
だから俺の思ってることだけを伝える。

「お前が自分の取り柄を見つけられねぇなら俺が見つけて教えてやる」

…だから俺を選べ。

最後の言葉は口にできなかった。
俺がこいつを好きだと知られるのは別に構わねぇけど、昔の嫌な記憶を思い出してる時に付け込むようなやり方はフェアじゃねぇし、そんなやり方で一瞬だけいい男ぶったっていずれ見抜かれる。

何も言わないみさきからは震える吐息だけが聞こえてきて静かに泣いてた。

前に電話口で泣いていた時は何もしてやれなかったし、今回だって泣いてると分かってても泣いてる女を慰めたことなんてない俺はどうしていいかすら分からねぇ

「泣くなよ…お前に泣かれるとどうしていいか分かんねぇ」

すげぇダサい
好きな女一人慰めてやれない自分がめちゃくちゃ腹立たしかった。

泣いてないとか言ってあからさまな嘘をつくみさきをしっかり抱きしめて思った。
泣くことで少しでもみさきの気持ちが解放されるなら好きなだけ泣けばいい。
俺といるときはどんな感情でも表に出してほしい。


震える細い背中を撫でて、俺がみさきを大事に思ってるってことが少しでも伝わってくれたらいいと思った。
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