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最愛 【黒子のバスケ】

第10章 near &far


side青峰

火照る体をシャワーで落ち着けてからバスローブを着てダイニングに顔を出すと、すげぇうまそうな朝食が並べられててみさきが何かをグラスに入れていた。

俺に気付いて「もうできるよ」ってニコニコしてるから、そのまま抱きしめたかったけど、自分がバスローブしか着てねぇからそれはできなくて、着替えてダイニングに戻ったらドロドロした緑色の液体のグラスを渡された。

こんなん飲んだことねぇけど…こりゃさつきの料理みてぇだななんて思って受け取って何か聞いたら「桃とバナナのスムージー」らしい。

いや、なんで緑なんだよ…でもみさきが飲めっつーなら飲むか



一口飲んで驚いた。
見た目は緑なのに苦いとか青臭いとかは全然なくて普通に飲める。

「……まずい?」

「全然まずくねぇよ。どっちかっつったらうまい」

「よかったー」

不安そうに聞くみさきに、思ったままを言うとほっとしたように笑った。

みさきは自分が果物は食えないのに、俺が冬になると体重が減るって言ったことを気にして糖質をきちんと摂取できる食事にしてくれた。

多分果物に触るのも避けてんだろうな…
果物ナイフと一緒に置かれたポリの手袋がそれを証明してるようだった。

別に彼氏でもねぇし結婚してるわけでもねぇのに、ここまでしてくれる女なんて多分みさきだけだ。
火神にしてきたから俺にもしてくれてんだろうけど単純に嬉しい。

最初は朝食まで作らせる気なんてなくて冗談で言っただけだったけど言ってよかった。


俺がスムージーを飲む間にオーブンからパンを出して、ダイニングに行ったみさきがまた一人でコロコロと表情を変えてる。

顔を赤くしたり口元が緩んでデレデレしたり口元に手を当てたり

あ、分かった…例の片思いの男のことでも考えてんだな。
可愛い顔しやがって腹立つぜ……

あー……でも、あいつのあんなデレた顔見れてラッキーか。

それでも、他の男のことを考えてるんだと思ったら、みさきの思考からそいつを追い出してやりたくなった。

「おい、どうした?」

「え?!あたし変!?」

声をかけるとびっくりしたような顔をして目をキョロキョロさせてる。


他の男のこと考えてんのが気に食わねぇ
なんて言えるはずもなく適当に会話を切り上げて一緒に食事を始めた。

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