第10章 near &far
side青峰
みさきに朝食を作ってもらう間にトレーニングをしていると腕に着けたまだほとんど連絡先を知らせてねぇスマホがなった。
『もしもし』
『ダイキか。俺だ』
『どうなった?』
『すべて回収してきた。出してないものがあったりバックアップを隠していれば警察を介入させるし、次に同じことをしても警察沙汰にすると伝えた。勿論見た内容の一切を口外しない旨の誓約書も取った』
『なんで俺のスマホがハッキングできたんだよ』
『やった本人はお前とあの女が付き合っていて最近浮気してるみたいだから犬も心配だし相手を突き止めて欲しいって言われてあの女からお前の番号を聞いてメッセージアカウントからハッキングしたらしい』
『チッ!』
『お前が怒るのも分かるが、お前が直接何かしようとすればおのずとあの女と接触することになるんだからやめておけ。あの女だって次何かすればモデルとしてのキャリアを失うことくらい分かってるはずだ。実行した本人にも、今後何かあれば自分の人生を棒に振ることになると忠告しておいた』
『あぁ。引っ越すからチームとの契約を任せてる奴とちょっと来季の件話詰める』
『分かった。できることがあったら言ってくれ』
『悪りぃな』
電話を切ってトレーニングの続きをしてそろそろ戻ろうと思っていたらみさきからメッセージが入る。
(昨日のパンとオートミールどっちがいい?)
いつでも食えるべちゃべちゃのオートミールよりみさきのパンがいいに決まってる。
みさきはそこに存在してるだけで癒しになる
今だって、バカ女のことでイライラする俺をメッセージ1つであっという間に上機嫌にさせた。
さっさと戻ってみさきの作った朝食を一緒に食う
部屋のドアをけると奥からパタパタと走って来てニコニコ笑って俺を見てる
「おかえりなさい」
…マジで可愛すぎる
トレーニングしてシャワーも浴びてねぇからしっかり抱きしめることはできねぇけど軽くハグをした。
「ただいま。パンにする」
「じゃあ用意しとくのでシャワーどうぞ」
そう言って俺の荷物を受け取ってシャワーに行かせてくれた。
はー。マジで俺と付き合ってくんねぇかな…
バスルームに入ってからもしばらく顔が熱くて心臓を鷲掴みされたような感覚があった。