第10章 near &far
夕食はタンパク質を中心に、繊維質も取り入れて質のいい油を取れるようなメニューを大我には作ってきたからそんな感じでいいのかな…
ちょっとコンシェルジュに相談しよ。
部屋の電話で専用のコンシェルジュに電話をかけるとすぐに出てくれる。
『コンシェルジュデスクでございます』
『ちょっとスポーツ選手の夕食について相談させてほしいんですが』
『承知いたしました』
すぐにそれに詳しい人を電話口に呼んでくれて相談すると一緒にメニューを決めて食材を届けてくれることになった。
頼めばなんでもしてくれるって聞いてはいたけど夕食の相談にものってくれるなんてすごすぎ…
頼んだ食材は30分くらいで用意されてとりあえず一番時間がかかるパンだけを先に焼くことにした。
パンはおばあちゃんがよく一緒に作ってくれたから結構色々作れて得意料理はパン(笑)
グルテンフリーだけどちゃんとふわふわに焼けるように結構練習した。
最初は全然上手に焼けなかったけど温度や湿度によって配合を少し変えるだけでちゃんとおいしく焼ける
「何作ってんの?」
「パンだよ。グルテンフリーで大我もよく食べてるから青峰君も食べれるかなって」
「あいつパン食わねぇとか言って嘘じゃねーかよ」
「市販のは食べないから大我の家に行くとよく作るの」
発酵が終わってしっかり膨らんだプニョプニョの生地。
「赤ちゃんのお腹みたいで可愛いでしょ?」
「赤ん坊の腹なんて見たことねぇよ(笑)」
粉をしながら少し小さめの丸に整えて並べていくとすべすべの生地が並んで成功の予感。
「赤ちゃんのお腹ってすべすべでまんまるでほんと可愛いの」
「お前の周りに子供いる奴いんの?」
「うん。歳はひとつ上なんだけど、大我ともあたしとも幼なじみの人に今2歳になったすっごくかわいい男の子がいるの」
生まれた時から何度も会ってるから他のどの子供よりもジェイクは特別かわいい。
「へぇー。子供好きか?」
「嫌いではないけどその子以外は特別大好きって訳じゃないかな。青峰君子供好き?」
「小さすぎるとどうしていいか分かんねぇけど一緒に遊べるくらいの年齢なら割と好きだな」
「意外。苦手なのかと思ってた」
「なんでだよ笑」
「なんとなく?笑」って笑ったら「なんだそれ」って笑ってあたしの頬を摘んでくる