第10章 near ＆far

「お前があったけぇから気持ちよく寝てたんだろ」って言われてまたベッドに引きずり込まれた。

青峰君ってなんか可愛い…

「えへへ…」

「何笑ってんだよ」

「何でもないよ。温かいなって思って」

「お前が温かいんだろ？」

違うよ。青峰君が温かいんだよ。筋肉量が多いから代謝が高い青峰君の方が絶対に温かいの。
あたしは冷え性ではないけど青峰君よりは温かくない。


「眠くなってきちゃった」

「なら寝ろ」

「お風呂のお湯止めなきゃ」

「俺が行くからここにいろ」ってベッドから出て行っちゃった。

青峰君がいないと寒い。
早く戻ってきて欲しい

お湯を止めてからすぐに戻ってくれた青峰君がベッドに入ってきて、あたしを抱きしめてくれた。

「みさき…」

「なぁに？」

「…お前の好きな男ってどんな奴？」

え⁉なんで突然そんなこと聞くの⁉
目の前にいるけどこういう時なんて言ったらいいの？

「え…えっと、優しいかな」
取り敢えず当たり障りのないことを言ってみた。

「そいつの一番好きなとこは？」

「……全部」

「ははは！お前にそこまで言わせる男に会ってみてーわ」って大笑いしてる。

会ってみたいも何もあなたですけど…

「じゃあ、青峰君が好きな人ってどんな人？」

「めちゃくちゃ努力家で嘘がつけない女」

「その人のどこが一番好き？」

「全部」

「青峰君がそんなに好きになる人ってすっごく気になる」

チクチクと胸は痛むけど、青峰君がその人と幸せになれればいいって思う。

「うまくいくように応援してる」

「手強いからな…俺はお前が振られたら骨拾ってやるよ」ってこの間と同じことを言われた。

だからね、本人に骨を拾ってもらう人がどこにいるの？って話でしょ？

物凄く努力家の青峰君に「めちゃくちゃ努力家」なんて言われる女の人ってどんな人なんだろうな。
会ってみたいかも。





きっとヤキモチ妬く気にもならないほど素敵な人だよね。