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最愛 【黒子のバスケ】

第10章 near &far


控室に戻ると8時を20分過ぎていてスマホを確認するとメッセージが届いてる

(裏のほうがいいか?)

メッセージを打つ時間ももったいなくて電話をかけるとすぐに出てくれた

「ごめんね!もう出るっ」

「急がなくていい。裏と表どっちがいい?」

「正面の向かって左の通路進むと裏口専用の駐車場があるからそこでも大丈夫?」

「分かった。急がなくていいから忘れ物すんなよ」

「うん。ありがとう」

メイク道具が全部あるかチェックしてから、青峰君がくれたコートを着て、さつきと美緒がくれたマフラーを首にかけて部屋を出た。

着替えは持っていたけど少しでも早く青峰君に会いたかった。




通用口を開けて外に出ると車の外に立っている背の高い人

シルエットで分かる

「寒いのにごめんなさい!」


できる限り速足で近寄るとあたしの手から荷物を受け取って運転手さんに渡したと思ったらギュっと抱きしめてくれた。

「おかえり」

「ただいま…」

こんなことされたら勘違いしそうになるのに、久しぶりの青峰君のハグが心地よくて拒めなくてあたしもハグを返した

「寒いな。車乗るか」

「うん…そだね」

車に乗り込むとすっごくあったかくて、青峰君と一緒にいるんだって実感が徐々に湧いてきた

「その恰好で寒くねぇ?」

「会場は暑かったから。でも外に出たら死ぬほど寒かったの。コートのお陰で生きてるけど」

アンゴラで最高の手触りの青峰君からもらったコートを撫でて、少しだけ青峰君を見ると目が合って優しい顔で笑ってくれた

「すげぇ似合ってる」

グッと腰を引き寄せられて距離が近くなって低くて優しい声にもうドキドキしすぎて心臓が飛び出しそう

「あの、青峰君もスーツ似合ってマス。あ、でもなんでスーツなの?」

「お前が…すげぇ綺麗だったからそのまま飯に行きたかったんだよ」

あ、目…
逸らされちゃった…

それにしても、どうしてあたしの格好を知ってるんだろ

「いつ見たの?」

「試合の後。控室で付いてたのを見て、こっち着いてからも生放送やってたから見てた」

「そうだったんだ。みんなすっごく綺麗だったでしょ?」

「お前がメイク教えたからだろ」

「そうだといいんだけど彼女たちは普通にすっぴんでも美しかった」

「楽しかったか?」

「うん!ほんと楽しかった。また呼んでもらえたらやりたい」
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