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最愛 【黒子のバスケ】

第10章 near &far


会場の様子はさっき見たからライトの強さは頭に入っている。

肌色とライトから一番合うカラーを選んで肌に乗せる。
年齢的に若干の皺があるから重ね塗りは厳禁。
気になると言われた小さなそばかすとも呼べないようなシミは少し暗めのコンシーラーで隠してぼかす。

紺と白のツートーンのエンパイアドレスに合う様に強すぎないけどはっきりと印象付ける細かいパールの目元と白人の中でも抜けるように色の白い彼女にぴったりの赤いリップをオーバーに取ったリップラインに被るように乗せる。

会場はドレスを着る人たちに合わせた高めの温度設定。
ルースとチークを手の甲でブレンディングして強すぎない発色にする。会場に入って温度が上がれば自然と肌が発色するから最初にチークを濃くするのはご法度。
最後に全員で並んだ時により美しく見える仕上がりを作る。

ヘアバンドを外して次は髪に取り掛かる。
頭の形を確かめてどこにピンを入れるか確かめて希望を聞く

『全部まとめてほしいけどフェイスラインが気になるのよ』

『後頭部だけ少し強めに引っ張ってもいいですか?』

『平気よ』

後頭部を少しだけ引っ張りながら手入れの行き届いだ長いブロンドを流れるようなラインを見せて低い位置でシンプルなエスカルゴを作って必要最低限のピンを止める

『フェイスラインにシェーディングをすればよりシャープに見えます。時間もまだありますので試してみますか?』

『そうね。頼めるかしら?』

真っ白な肌色だからやりすぎるとおかしくなってしまう。いつもより慎重に粉を調節してそっとフェイスラインをなぞっていく。

『いかがですか?』

『あなた…誰のお弟子さんなの?』

『パトリックです』

『さすがね。ありがとう。任せて正解だったわ』

『こちらこそ。メイクさせていただけて光栄でした。スタイリストをお呼びしていいでしょうか?』

『えぇ。お願い』

彼女の部屋を出て戦々恐々としているスタッフの間をすり抜けてスタイリストを呼んで一緒に部屋に戻る。

支度を一緒に手伝って予定の15分前に彼女を仕上げることができた。
大急ぎでメイク道具を片付けて自分の控室に運んだ。

予定外にメイクをしたからドレスに少し粉が飛んでしまったけどあたしは主役じゃないから濡れたタオルで軽くふいて後でクリーニングに出す。

コンテストは滞りなく開催できそうで一安心

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