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最愛 【黒子のバスケ】

第10章 near &far


スマホが鳴ったから青峰君かなって思ったのにまた知らない番号からだった。


2日前も、講義中に知らない番号からプライベートのスマホに電話が入ってたけど、折り返さなかったからまたかけてきたのかと思って出ると、青峰君にそっくりな声だった。
だけど、もし本人じゃなくてあたしと青峰君が知り合いだって知られたら大変なことになるんじゃないかと思って、いたずらなら切るって言ったらまさかの本人だった。


番号が変わった理由と今まで電話できなかった理由を聞いて、青峰君が心配になった。
押し付けられる好意は人を苦しめる。

あたしのプライベートのスマホに入っている人数なんてたかが知れてて番号を変えたからと言って別に困らないし、仕事用のスマホの番号は別に誰に知られても構わないって思ってる。

それでも番号が漏れたことを本当に申し訳なさそうに謝って番号を変えるように言われた。

「ちょっと最初の予定よりNYが長引くんだけど日本に戻ったら番号変えて連絡するね」

「ほんとごめん…」

「青峰君のせいじゃないからもう謝らないで。連絡もらえてよかった」

今回のことに青峰君は何の責任もない。
ハッキングできるからと言ってやるかやらないかはその人のモラルの問題。外的要因は関係ない。

「タイミング悪く遠征と重なっちまって、連絡が遅くなって悪かった。知らない番号からかかってきても出るなよ」

「うん」

「NY延びたって、いつまでだ?」

「今日含めてあと3泊するの。フレグランスの撮影やるところを視察することになって、その部屋が取れるのが明後日なの」


「明日仕事は?」

「コンテストの審査やって8時には会場出る予定」

「場所は?」

「マンハッタンのマディソンスクエアガーデンだよ」

「そっち行くから夜ちょっと時間くんねぇ?」

そっちってNYってことだよね?でも明日試合あったような気がするんだけど…

「え?明日試合あるでしょ!?」

「終わった後だ」

「疲れちゃうよ…」

会いたいけど、青峰君絶対疲れちゃう。

「そんなヤワじゃねーよ。それに明日の試合終われば3日間オフだ」

「ならあたしが行く。仕事終わってからだから最終便になっちゃうけど、CLならホテルも取りやすいしあたしがそっちに行って明日泊まる」

「ダメだ」





え…我ながらいい案だと思ったのに…



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