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最愛 【黒子のバスケ】

第10章 near &far


“非常にお似合い”なんてお世辞でもすっごく嬉しくて照れてしまう。

『ありがとうございます。贈っていただきました』

『黒須様にぴったりでございます。選ばれる時もきっと黒須様のことを想ってお選びになられたんでしょうね』

『そうだと嬉しいです』
あたしが時計を選んだ時青峰君のことを考えていたから青峰君も同じだったらすっごく嬉しい。
一緒にいなくてもあたしのことを考えてくれる時間が少しでもがあったならそれは幸せすぎる

デザートと紅茶を並べ終えてバトラーが頭を下げて奥に戻ったことを確認してまた時計に見惚れてしまう。

ホント綺麗…

一定に動く少しだけ見えるムーブメント。
あたしがプレゼントした時計とこの時計が今同じ時間を刻んでいると思うだけでいつもより青峰君を近くに感じられた。

やっぱり会いたいな…
青峰君も今は試合も忙しいし、今からじゃ試合のチケットも取れないし。それに邪魔だけはしたくない。

11月に開幕したシーズンもそろそろ上半期を終えて、どのチームもファイナルに出るために試合は一層激しくなる。
そんな時にあたしの“会いたい”なんて感情だけで会うわけにはいかない。


もう少しすればシカゴで試合も見れるし、大我のお家に泊まるって言ってたから話すことだってできる。
すっごく会いたいけど今回は我慢。

あと1か月か…長いなぁ。

この出張を終えて帰国したら2月の仕事の追い込みと確定申告があって時間はいくらあっても足りないなんてわかってるけど青峰君のことを考えると途端に長く感じる。

アフタヌーンティーをしっかりいただいて部屋に戻ると余計に寂しさが襲ってきた。

スタンダードルームを取ったけどパパとママとNYに来たときはよく使うのと今は寒すぎる時期のせいかお部屋が空いてるらしくアップグレードしてくれて思いがけず高層階のいいお部屋に泊まれた。


窓にくっついて夜景を見下ろしてると初めて青峰君と同じ部屋で過ごした日のことを思い出した。

気温が低いから今のほうがキラキラして見えるはずなのにあの時ハンプトンから見た景色のほうが輝いて見えた。

電話したら迷惑かな…

メッセージだけならいいかな?
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