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最愛 【黒子のバスケ】

第9章 優しい嘘


side緑間

翌朝出勤して病理から回されてきていたみさきの血液検査の結果を確認すると、予想通りフルニトラゼパムが検出され、それを警察に届けた。

こちらの用意の良さに驚いてはいたが、俺が医師であることや事に至る経緯を話すと納得したようでお礼を言われた

フルニトラゼパムの様に即効性の高い睡眠薬は代謝が早く採血や採尿が遅くなれば検出はできない。
みさきらしからぬ動きから薬物を盛られた可能性を考えて検査キットを持って行ったことは正解だった。


日本の薬と佐伯が輸入していたものでは効果は同じでも色素を含まないことや成分組成が若干異なるためあいつが飲ませたことを言い逃れる術はない。薬物の違法輸入だけでなく監禁でも罰せられると思うと少しだけ心が軽くなった。
そして警察によれば手慣れた手口で協力者の存在や余罪がありそうなことから厳しい追及をするということを教えてもらえた。

桃井や進藤、そしてみさきが最初にあいつに感じた違和感や恐怖は間違っていなかった。


学会で不在の父には電話で事の次第を話し緊急カンファレンスを開く許可をもらっていた為、病院に戻ってすぐに内科とアレルギー科の医師を緊急招集して申し送りをした


「急に集まってもらって申し訳ない。緊急且つ他言無用でお願いしたいことがあります。機密扱いとしたいためメモも取らないでいただきたい。不明点はいつでもお答えします」

実家の病院とはいえまだまだ下っ端で俺が患者に対するカンファレンスの指揮を執ることはまずない。
集められた医師たちも困惑の表情をしていた。


「アレルギー科の特別疾患患者の黒須みさきについてです。電子カルテで患者番号の確認お願いします」

俺がそう言うと、もう長くここに通っているみさきを覚えてない医師はいないせいか全員があっという間にみさきのカルテを手元のタブレットで確認した。

「昨日黒須さんはフルニトラゼパムを摂取した事がカルテの通りお分かりになるかと思います。副作用が出ることは100%ではありませんが、睡眠薬自体の摂取が初めての彼女では高い確率で離脱症状が出ると考えています。そこで皆様にお願いしたいことがあります」

そこまで話したところで1人の医師が手を挙げた。


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