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最愛 【黒子のバスケ】

第9章 優しい嘘


side緑間

「フルニトラゼパムの摂取の経緯は?自殺目的での摂取なら精神科医を呼ぶべきじゃないのか?大量摂取やアルコールとの併用は死に繋がる。それに入手経路も分かってない。うちで処方してない処方薬を何故彼女が持っている?」

「協力を仰ぐ立場で申し訳ありませんが詳細はお話できません。ただし、これだけは言わせて頂きたい。摂取は彼女の意思ではない。よって自殺目的や今後の摂取は考えられません」

恐らくここまで言えば医師ならば誰でも犯罪絡みだと分かるがみさきが自殺をしようとしたと思われることは不快だった。
本心ではそう思っていたかも知れないが、どんなに辛いときも決して“死にたい”と口にはしなかったみさきを侮辱されているようで我慢ならなかった。

「ならばいいが…続けてくれ」

「フルニトラゼパムの離脱症状や副作用が疑われる症状で彼女が来院した場合の処置は看護師ではなく全て私が行います。そして、彼女本人にフルニトラゼパムの摂取を伝えることも、それを示唆するような発言も一切しないで頂きます。看護師にも彼女が来院した場合は処置には入らず全て私を呼ぶように申し送りをお願いします。医院長から許可も出ていますのでその様にお願いしたい」

「なにかご質問はありますか?」

全員がないと答えて緊急のカンファレンスは終了した。


日中は通常通り業務をこなしてはいたが気にはしていた

離脱症状が出始めるのは摂取後およそ16時間から18時間。摂取時間の詳細が分からないことや個人差はあるとしてもピークは恐らく夕方から今晩にかけてだ。症状が出ればインフルエンザ急性期のようなダルさだと言われているから青峰のような医者嫌いな奴でなければ大体の者は医者に行く。

みさきはフリーランスで代わりがきかないと言って体調管理には人一倍気を使っているから症状が出ればすぐに来るはずだと踏んで病院に残っていて良かった。

7時を少し回った頃アレルギー科の直通にみさきから電話が入ったと俺に連絡が入った。

「すぐに行く。申し送りの通り処置は私が行いますので診察室、処置室共に看護師の立ち会いは不要です」
症状が酷ければ立っていることも辛いだろうと、通話しながら玄関に急いだ。

「承知しました。宜しくお願い致します」

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