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最愛 【黒子のバスケ】

第9章 優しい嘘


side火神

緑間から連絡すると言われてさっきまでの焦りは感じないもののみさき本人とまだ連絡がつかねぇことが引っかかっていた。

無事ってどういう意味だ?
命は無事だけど何かされたって意味なのか、本当に何事もなくみさきと合流したのか

考えても答えは出なくてスマホを握りしめたまま緑間からの連絡を待っていた。


メッセージから30分以上経ってやっとスマホが緑間からの着信を知らせてきた。

待ちわびた電話につい結論を急かしてしまう俺に緑間の落ち着いた冷静な声が届いた。

「さっきも無事だと言っただろう」というあいつの次の言葉の次に「が…」という否定が入ったことに俺の背筋が凍る。

事の次第を緑間から聞いてとてつもない怒りがこみあげてくる。

みさきに薬を盛ってホテルに連れ込んだだと…
ラテックスでアナフィラキシーを起こしてからというもの緑間のところとアメリカでのかかりつけ以外の薬は飲んでなかった。万が一アレルギーを起こしていたらと思うと佐伯を殺してやりたくなった。

薬の種類がデートレイプドラッグとしてこっちで頻繁に犯罪に悪用されているものだと分かって佐伯がみさきに何をするつもりだったのか嫌でも理解させられて抑えようのない怒りが俺を覆いつくした。

それでもGPSを持たせていたことが功を奏して手を出される前にみさきを助けることができたと聞いて、早い段階で緑間に相談してあいつがGPSを持たせると言ってくれたことを心の底から感謝した。

あいつがGPSを提案してなかったら…考えただけでも吐き気がしてきて考えるのをやめた。

そして何もなかったのであれば薬を盛られたこともホテルに連れ込まれそうになったこともみさきの耳には入れてほしくねぇ。

せっかく青峰を好きだと思ってるのに、未遂とはいえ男からそんなことをされたと知ったら間違いなく青峰を遠ざける。

俺はみさきに幸せになってもらいてぇ
薬は盛られたかもしれねぇけどあの時の様なことをされたわけじゃなくて記憶すらないならそれをわざわざみさきに言ってあいつの気持ちを乱すのは嫌だった。

「十中八九みさきに記憶はねぇ。だから話すな。佐伯といたときに疲労のせいか眠くなって寝たから桃井に連絡したが出張中だったからお前が迎えに行ったことにするんだ」

佐伯をかばってるんじゃねぇ。みさきのためだ
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