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最愛 【黒子のバスケ】

第9章 優しい嘘


side緑間

みさきのマンションに到着して俺がみさきを抱きかかえて部屋まで運ぶ。

悪いな…青峰。だが今回は仕方ないだろう

みさきのバッグから桃井が鍵を取り出して開けると、進藤が迷うことなく寝室の扉を開けてみさきを寝かせられるようにベッドを準備してくれた。

幸い薬でアレルギーを起こしているようなことはなさそうだったが薬物が何か特定するためにみさきの血液を採取した。


約6時間から7時間で効果は薄れてくるものの離脱症状が心配ではあるな

そして目を覚ました時佐伯とのことをどこまで覚えているのだろうか…
これだけ強力な睡眠薬は一時的な健忘を引き起こし前後の記憶をあいまいにすることも珍しくない。

目を覚ましたみさきにどう説明すべきなのだろうか…

「真太郎?あたしが病院に血液を届けてくるからみさきちゃんを見てて」

採血したものを持ったまま考え込む俺に玲子が声をかけてきた。

「あぁ。頼めるか。俺は火神に連絡する。気を付けてな」

火神のことだから今か今かと連絡を待っているはずだと思い電話を掛ける。

案の定最初のコールが鳴り切る前に電話に出た。

「みさきは⁉」

「落ち着け。さっきも無事だと言っただろう。が…」
薬を盛られてホテルに連れ込まれるところを赤司の警備が助けたことを話した

「薬って…」

「恐らくフルニトラゼパムという睡眠薬だ。詳しくは検査をしてみないと分からないが、今玲子がみさきの血液をうちの病理に持って行ってくれている」

「薬飲まされた以外本当に何もされてねぇんだろうな…?」
火神は迫力のある見かけとは裏腹に優しい男で怒りを露わにすることなど滅多にないが、今回は声色からも怒りが伝わってくる。

「仕事用のスマホのシグナルを失ってからずっとタクシーに乗っていて降りた瞬間を保護している。あいつがみさきを抱えて降りたことは不本意だが、それ以外何かされた形跡は見当たらない。衣類の乱れも争ったような傷も何もない」

「分かった。このことは絶対みさきに話すなよ」

「話すなと言われたってみさきが覚えていたらどうする」

「こっちは薬物大国なんだよ。フルニトラゼパムくれぇ俺だって聞いたことある。デートレイプドラッグの代表格だろーが。……被害者自身が被害に気づけねぇことは珍しくねぇ」


驚いた…火神がそんなことを知っていたとはな…
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