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最愛 【黒子のバスケ】

第9章 優しい嘘


side緑間

「違法に輸入ってそんな事簡単にできるはずないだろう!指定医薬品だぞ」

「佐伯は商社で輸入判定をしてる。そこで得た知識を悪用したんだろう。細かい手口は警察の方で捜査するらしいが、うちも協力することになりそうだ」

もうすでに警察にも手を回していたか…
やはり抜かりない。

だが騒ぎになるのは避けたい
またみさきが傷ついてしまう…

GPSをそのまま追っているとまだ追いつかないものの限りなく近いところまで追いついていた



考え込む俺の耳に赤司のスマホの着信音が鳴り響いた。

「…あぁ。そうか。絶対に見失うな。一般の警備が路上で車を止めさせることは違法だ。車が止まるまで待って降りたところを保護するんだ。保護したらすぐにこちらにに乗せろ。絶対に騒ぐな。彼女をその場で起こしたくない」

俺が何か言わなくとも赤司は分かっているかのようだった


みさきのことは調べたりはしないだろうが人を見抜く力に長けている赤司ならばこの出来事がみさきを大きく動揺させることくらい簡単に想像が付くということか…


「あれはうちの社の車だ。緑間、後ろに付けられるか?」

「少し強引にはなるが割り込ませてもらうのだよ」

警備会社の車の斜め後ろまで車を寄せて後ろの車に分かるようにウインカーを出して窓を開けて頭を下げると、俺が入りたいのが伝わったのか、信号が変わって警備の車が出た後に俺が入れる様に待っていてくれた

よかった…
ここで入れてもらえなければ警備の車が確認しにくくなってしまう。

ハザードランプを数回点灯させて感謝を伝えて、警備の車に続いた。


追跡されてるとも知らないタクシーは迷いなくホテル街に入り込み“空室”のランプがついたホテルに滑り込んでいく。



予想通りの結末だった

警備の車が一台入り込み俺たちもそれに続いた。

車から降りるまでは怪しまれないよう部屋を探すふりをしてタクシーに近い位置をゆっくりと走る。



出口を警備の車が塞ぐのを確認した

逃げ場はない。

タクシーの扉が開いてさほど身長は高くないが誠実そうな仮面をかぶったクズが、ぐったりしたみさきを車から降ろしているのが見えた。

赤司が警備のトップと思われる人物に指示を出すと3人の警備が男からみさきを引き剥がしながら抑え込み、1人がみさきを抱えてこちらに歩いてきた
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