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最愛 【黒子のバスケ】

第9章 優しい嘘


side緑間

帰宅してからもスマホを離さず食事も手に付かない俺に玲子が優しく声をかけてくれた

「どうしたの?」

黙っていても仕方ない。
それに玲子だってみさきを大事に思っているのだから知らなくていいはずはない。

先日あったことを話して今みさきがその男と二人でいるということを話すと精神分析を本業とする玲子らしい答えが返ってきた。

「みさきちゃんが自分の意思で行ったのかもしれないけど、それはみさきちゃんにとって大事な何かをエサにして連れ出されてって可能性が大きいと思うの。あれ程警戒心の強いみさきちゃんが意味もなく他の男の人についていくなんて絶対有り得ない」

みさきの警戒心の強さは何も知らない者からすれば異常とも言える程だ。
理由なく男と2人になるなどありえない。

ましてや、少し前にただならぬ恐怖を感じた相手だ

「警備もついているけど、あたしと真太郎もいつでも出れるようにしておこ。でも食事はしないと。おにぎりにすれば食べながらでも出れるでしょ。すぐに用意するから」

「玲子…」

「ん?」

「ありがとうなのだよ」

「いいのだよ」

自分だってみさきが心配でならないハズなのに俺を安心させるために俺の口調をマネして優しく笑ってくれる。


玲子が用意したおにぎりを食べていると桃井からの着信が来て嫌な予感が的中した。

「どうした⁉」
俺の声に驚いた玲子だったが、それは一瞬で出かけられるようにスターターで車のエンジンをかけて上着を用意し始めた。

自宅とは反対方向に向かっている
この時間にそれは絶対におかしい

まさか何か飲まされて意識がないなんてことはないだろうか…

自宅にある検査キットとラテックスフリーの手袋を持って玲子と一緒に車に飛び乗った。

運転の間に玲子が赤司と連絡を取って合流して警備の後を追うことにした。

普段は法定速度は厳守してるが今回はそんな悠長なことは言っていられない。思い切りアクセルを踏み込んで赤司をピックアップすると、警備部門で使っているモニターでみさきの位置を把握しているようだった。

「桃井と進藤がこちらに向かっているはずだから位置を電話で伝えてほしい」

「分かっている。まだ車は動いているなら彼女は無事なはずだ。それに警備ははシグナルを失ってすぐに3方向から追跡を始めている。逃げ道もなければ隠れることだってできない」
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