• テキストサイズ

最愛 【黒子のバスケ】

第9章 優しい嘘


side美緒

中野チーフの接待に同行してお酒好きの相手のせいで6時から始まった接待は既に11時半を超えていた。

中野チーフが上手く言ってくれてその日のうちに解散することができたけどもうぐったりだった。

涼太にでんわでもしよ…

出るかは分からないけど掛けようと決めてスマホを開くと着信とメッセージがきていて先に確認をすることにした。

みさきからのメッセージとさつきからのメッセージ
どちらも佐伯に関することが書かれてて接待で飲んだお酒が一気に抜ける程体が冷えていくのを感じた。

とにかく電話しなきゃ。

さつきに掛けたのにお話し中で繋がらなくて頭の中がパニックで誰に電話をすべきなのか判断できない。

“どうしよう”って思考が頭を支配して電話の相手を決めかねてるうちにさつきから電話がきた。

「もしもし!今どこ⁉」

「今接待終わったとこなの!みさきは⁉」

「赤司君の警備が追跡してるけど移動中って言われたまま連絡がこないの。東町に向かってるって」

「あたしもそっちに向かう」

「あたしもうすぐ新幹線降りるし、駅にタクシー待たせてるから合流できる⁉」

「あたしも今駅近いから待ってる」

さつきは泣いていたせいか声が震えててこんな時に接待とはいえお酒を飲んでた自分が心底嫌になった。

お願いだから無事でいて…


最近やっと初恋をした二人目の親友。
話してくれた過去は思った以上に辛くて悲しくて、もし自分だったらと思うと怖くてたまらなかった。

その時に感じた恐怖と同じ恐怖が今あたしを襲ってる。
それと同時にみさきがまた同じようなことをされたら今度こそ壊れてしまうんじゃないかという考えが浮かんでくる。

警備が行ってるから大丈夫と自分に言い聞かせるけど震えが止まらなくて気づいたら涙がこぼれてた。

あの時エントランスまで送ってタクシーに乗せるべきだった。今更何の意味もなさない後悔があたしの胸に広がっていく。


「美緒!!!」

普段からよくとおるさつきのいつもよりも焦った大きな声にハッと顔を上げるとタクシーが目の前に止まっていて、一気に現実に引き戻されてタクシーに乗り込んだ


「「東町方面に!!」」


泣きながら声を合わせる私たちにドライバーも尋常じゃないと思ったのか一気に加速して車を飛ばしてくれた


/ 1719ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp