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最愛 【黒子のバスケ】

第9章 優しい嘘


sideさつき

さっきよりもガタガタと震える指で緊急の連絡先に電話を入れる。

「警護対象者…」

「黒須みさきと連絡が取れないの!今すぐ探して!お願い!」

相手の声を遮って周りの迷惑なんて考えられなくて泣きながら声を張り上げた。

「1つのシグナルが消失したことはこちらでも感知しましたので既に最寄りの営業所から警護を送っています」

「最寄りってどこ⁉今みさきはどこなの⁉」

「北町を東に向かって動いていますがスピードから考えておそらく車であることが分かっています。他に今は情報がありませんが分かり次第ご連絡いたします」

落ち着き払った喋り方が妙にあたしをイラつかせたけど、今はそんな事気にしてる場合じゃない
みどりんに連絡しなきゃ


スマホをタップしてから通話エリアに足を向ける。

コール音がしたと同時に通話に切り替わった。

「どうした⁉」

「仕事用のスマホが切られてプライベート用にも出ないの。警備に連絡したらもう向かってるって言うけど、北町を東に向かってるって。みさきの家とは反対方向なのに」

「…赤司と合流して俺も向かう。おそらくみさきの意思で動いてはいないだろう」

「あたしももうすぐ着くからすぐにそっちに向かう。連絡取れるようにしておいて。場所分かったらすぐに連絡して」



今までこんなに恐ろしい思いをしたことなんてなかった。

泣きながら苦しそうに辛そうにそれでも一生懸命過去を話してくれたみさきがまた男の人に何かされたらどうなってしまうんだろう。

一度でもあんなふうに苦しんでるのに二度もそんなことになってしまったら…

言葉にならない恐怖に今にも飲み込まれそうでスマホを強く握りしめて、どうか無事でいてと願うことしかできない。

泣きながら新幹線に乗ってる女なんて変だと思われるかもしれないけど周りの目なんて気にならないくらいみさきが心配だった。

東町のどこにいるかなんて分からないけど新幹線を降りたらとにかく東町に向かおうと決めて到着時間に合わせてタクシーを予約しておくことにした。


タクシーとの通話を切ると美緒からの着信があったことを知らせるポップアップがでてすぐに折り返しを掛けた
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