第9章 優しい嘘
side佐伯
俺の問いかけに虚ろな視線を向けながらも目が明かないのかそのまま椅子に倒れ込んだ。
万が一誰かから電話が鳴って眠りが浅くてタクシーで起きられたら今までの苦労が全部水の泡だ。
スマホの電源を落として鞄に放り込むとそれを持って黒須の腕を肩に回させて一緒にタクシーに乗り込む。
「お客さん酔っ払い?ゲロは勘弁だよ」
「疲れて寝てしまっただけなので大丈夫です。僕も飲んでませんし」
嫌そうな顔をする運転手に愛想よく話しかければ「どちらまで?」と聞いてくる。
御用達のラブホ街を伝えて空いてるところがあれば入ってくれと言ってドライブを楽しむ。
黒須はぐっすりと寝ていて起きる気配がない。一度効いたら6時間は覚めないはずだからもう心配はなさそうだ。
「やっぱり東町の通りに頼むよ」
落とすまでに時間がかかったからここからは俺の思う存分楽しませてもらう。
起きたときのシュミレーションを何通りも頭の中でしながら、思わず口元が緩む。
今まで顔なんて気にしたことなかったけど、結構好みだった
まぁ本気で好きになるほどの女じゃないけど、遊ぶ相手としては合格点をくれてやる
東町のラブホまでは約1時間。タクシー代なんてちっとも惜しくない。
それに東町のラブホは周辺に何もないからすぐにタクシーは捕まらなくてラブホですぐに目が覚めたとしても口説く時間が確保できるし逃げ道はない
最高に楽しいのはここからなんだから。
今日股を開かせられる確率を自分の中で計算した。
7割は今日いけそうな感じがする
明日は無理なんて仕事があるようなこと言ってたけど、今日俺を逃さないための口実とも考えられる。
次の日に仕事があるなら、夜遅くまで他人の仕事なんて手伝わないだろ
やっぱ8割方今日イケる
貧乳だけど、さっきの仲間も3万だって言ってたし、この歳で3万なら頭の中はエロいこと考えてるってパターンはよくある。
初SEXに夢見がちで面倒なとこはあるけど、言葉とテクで満足させれば自分がキモチヨクなれる
中々楽しめそうだな。